大切にしたい若造騎士I ページ40
恋人繋ぎのままいつも一人で歩いていく道を二人で進んでいく。
心臓が破裂しないか心配になる程煩くて、握る手が熱い。
時折存在を確かめるように強く握り込まれその度に優しく指の間を擦る。
何度もそうやってしながら心地よい距離感のままいつのもの道を進めばあっという間だった。
「上がってケ。酒じゃねぇけどお茶ぐらい出す。」
酒場に着いたはいいけれどどうしようか悩んでいれば入るように促される。
いつも喧しい店内はシンと静まり知る雰囲気と違う。
ただいつも通り足を踏み入れただけなのにかえって緊張する。
先ほど聞いたギルさんのお願いが頭から離れない。
ギルさんは「大切な人と手を繋いで一緒に帰ってみたい」と言った。
俺はギルさんの「大切な人」になれているのだろうか。
カウンターに入ってしまったギルさんの後を追って席に着けばいつも通りのコップにお茶が入っている。
まだアップタウンは明るいはずなのに陽の光がないダウンタウンはいつも通りだ。
「何ダァ。借りてきた猫みてぇに大人しくなっちまっテ。いつもの店だろうが。」
「あの、その、すごくおかしなことを言ってもいいですか？」
「ンァ？」
ギルさんはなんてことないようにコップに入った冷たいお茶を口に含む。
来店したわけでもないのにギルさんの家が二階にあるこの酒場に入れてくれたってことは。
その、とどのつまり…。
「お家デート…みたいだなって…思って…しまいまして…。」
まだ首まで熱い。
目線が合わせられずチラリとギルさんを上目遣いに見ると、ブワッと顔を真っ赤にしていた。
陽に当てられた時とは違う明らかに羞恥の赤面。
「…あーまぁ…そー…ダナ。」
吃ってしまったギルさんが手持ち無沙汰にコップを弄る。
言葉をなくした大人二人が無言でお茶を飲む異様な構図が出来上がってしまった。
いかんぞ騎士アルマ、リードどころか恥ずかしがってどうする。
ここはまだ酒場のエリア。
ギルさんに深い他意はなかったはずだ。
ただやってみたいことをやってまだ時間があるから酒場で飲み物を飲む。
なにもやましいことなんてないじゃないか。
でも、でもだ。
ちょっと、いや、かなり。
恥ずかちいれしゅ…。
「アルマ。」
すっかり何も言えなくなってしまった俺にギルさんが優しい声を放つ。
赤いままの顔にちょっとした悪戯心が見え隠れしている。
「上、上がってみるカ？」
「はぇ？」
貧相な脳では理解力が追いつかなかった。
大切にしたい若造騎士II→←遊び人と酒場の店主と若造騎士��
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
