遊び人と酒場の店主と若造騎士�� ページ39
「それはどーでもよくって！デートしてたのにこんなところで呑気にお茶してていいの？」
すっかり落ち着いて食後のコーヒーを飲んでいると、カイネが呆れたように俺たちを見る。
先ほどまで具合が悪そうだったギルさんも今は本来の調子を取り戻しているようだ。
たしかに席を立つにはい時間かもしれない。
「腹ごしらえもしたし、そろそろ出かけるカ。全然デートしてネェしナ？」
「はい。ではお会計済ませてきますね。」
「あーいいよ。俺が払っとくから二人ともサッサと行きな。」
財布を取り出そうとした俺の手を制してカイネが勝手に店主に声をかけて払ってしまう。
止める間もなく奢られてしまって、ギルさんと二人して目を合わせていると呆れた顔のカイネがこちらを向いた。
「邪魔した迷惑料。ホラ、わかったら早くデートしてこい。」
ドンドン俺達の背中を押して店から追い出されてしまう。
最後にギルさんを軽く抱擁してから自分は店へと戻ってしまった。
お互い顔を見合わせて肩をすくめ、今日は奢られてしまおうと街へ繰り出した。
今度会った時に俺が何か奢ればいい。
「ギルさん、どこへ行きたいですか？」
「ン、それな。今何時？」
「お昼過ぎて二時ぐらいですよ。」
んー、と顎に手を当てながら悩むのはギルさんの癖だ。
ちょっと口をへの字に曲げるのがたまらなく可愛い。
鼻血が出そうなのを抑えて返事を待っていると片手を掴まれた。
ギルさんより少しだけ大きくて無骨な手の指の間へと白い指が滑る。
きゅっと握り込まれて仕舞えば、その形に気がついて首まで熱がたまっていった。
「あ、ああ、あの！？これ、これ！？こい！こいび！恋人つな！恋人繋ぎ！？」
「ナンダ。イヤだったカ。」
「滅相もございません！！今すぐこの命失おうとも惜しくありません！あ！結婚してないから死ねない！！」
「なーに言ってんだ。」
大パニックを起こした俺が意味不明なことを口走っている間にギルさんはスタスタ進んでしまう。
引っ張られるように歩かされ、行き先など聞く間も無くその足は来た道を戻っていく。
このままではダウンタウンの入り口まで戻ってしまう。
従う他なく、見えてきた入り口に戸惑った。
「あの、ギルさん？」
「アルマ。俺の願い聞いてくれるか。」
「どんな無理難題にでも答えてみせます。」
「ん。一回でいいから、大切な人と手を繋いで一緒に家に帰ってみたい。」
「ンッ！！」
力強く地面に頭を打ちつけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
