若造騎士はおしゃれさん ページ31
騎士団の詰め所に併設されている寮は相部屋が基本となり、隊長と副隊長だけ個室となる。
相部屋と同じ広さを一人で独占できる優越感は実に心地の良いものだろうが俺の場合はさらに大事なことがある。
部屋の壁にずらりと並べられた愛剣、予備、騎士団の鎧。
これはどの部屋でも見ることができる騎士団特有の光景だ。
問題はそこじゃない。
「…貴族ってのも大変だよまったくさ。」
本棚の隣にある個室特典の小さな一部屋。
ロゼは実家から送られてきた本をしまう書斎にしているといっていたか。
俺も可能な限り己が好むものを詰め込みたかった部屋。
洋服箪笥として確保した部屋となってしまった最悪の部屋だった。
ヴィクトリア家は騎士家系でありながら身だしなみにとことん気を遣う。
矢面に立つ前に陛下の剣であり盾である。
その信頼は先祖代々受け継がれる忠誠心と確固たる実力により深きものとなり、陛下からの熱い期待に父上が体を張ってお答えしている。
ヴィクトリア家の一人っ子であり男児である俺はいずれ父上の跡を継ぐ。
陛下の隣に立つ者がセンスのかけらもない残念騎士など生き恥もいいところだ。
という事情により身だしなみには一層気を遣う。
今ここに並んでいる服だってかなりの金額をかけているのだ。
「ギルさんはたぶん普段着だよなぁ…。」
だがしかし！
今日は一般庶民でありダウンタウン住まいのギルさんとの初！デート！
エスコートするお姫様ならぬ俺の運命より目立つなど言語道断！
マジでありえねぇよこいつ何考えてんだ頭おかしい…と思われる貴族御用達のタキシードも却下！
かといって貴族の普段着も目立つ！
アップタウンの善良な市民と同等というのもちょっと体裁が悪い！！
本当に！本当にいた仕方がないけれど！
本当はいやなんだけれども！ヴィクトリアの名を守り、ギルさんに恥をかかせないのは…！
「ぎりぎり妥協点といったところか。」
選んだのは騎士団員に支給される地味な訓練着だ。
そこにこれまた支給品である騎士団のケープを羽織った。
これでとりあえず正装に近く、貴族としての体裁を守りつつ問題にならない格好だ。
くそう。貴族なんて重しがなければギルさんと一緒にダウンタウンの普段着を着たのに。
ああ、おそろいの服なんてどんなに楽しいだろうか。
ペアルックは恥ずかしいから同じ街の色に染まるところからぜひ始めたい。
「さ、行きますか。」
へへ…俺の愛する人とデートの時間だ。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
