酒に飲まれぬ酒場の店主�� ページ18
アルコールに浸された時間を過ごす午後十時頃。
いつものようにハイボールを出そうと思ったところで手を止める。
買い置きしておいた俺専用の炭酸が空っぽになっていたのだ。
そういえば炭酸を切らしてお客に出す分がなく、俺の分から何杯か出した記憶がある。
もしかしなくともそのせいだろう。
致し方なく裏方から梅酒を取ってくると珍しいものでも見るような顔でアルマが首を傾げた。
「あれ？炭酸取りに行ったんじゃないんですか？」
「切らしてた。仕方ねーから梅酒。」
持ってきた梅酒はここより少し離れた東の国でよく知られる製造方法で作った自家製だ。
一般的に売られている梅酒はアルコール度数が高いゆえに口当たりが微妙で飲みずらい場合がある。
これは俺特製の蜂蜜を混ぜ、飲みやすさと味の良さを追求した一品だ。
「なんだァ？飲みたいのかァ？」
「いえ、ギルさんってザル通り越してワクだなぁと。」
たしかに俺は酒に強いがザルはあってもワクはない。
アルコール度数の強い酒を文字通りちびちび飲んでほろ酔いで止めているだけだ。
「酒は飲んでも飲まれるなってな。酒場の店主が酔い回って勘定もできねぇとか情けないだろォ？」
「ギルさんならおっちょこちょいでかわいいです。けど、確かに情けないですね。」
隙あらば好き語りとは誰が言ったうまくもないダジャレだったか。
アルマにはお似合いの言葉だ。
羞恥心というものがないのかこの馬鹿騎士は。
「でもいつもほろ酔いでいいんですか？思いっきり酔っぱらいたくなりません？」
「肝臓も労わらねぇと総合的に見て飲む量が減るんだよ。俺は毎晩飲んでるワケじゃねえぞ。」
「俺もそうなんで何とも言えないです。」
酒場だから酒を飲まなければならない、なんて決まりはどこにもない。
アルマも明日が忙しい日は酒を飲まないし俺も週に四日は飲まない日を作っている。
ウイスキーを飲んでいるように見えて実は麦茶を手に持っていた、とかザラだ。
毎日飲んでいたら体に悪いというのもあるし俺が飲んでいる分は経費ではなくポケットマネーだ。
ビールより割高なウイスキーはちびちび大切に飲んでいる。
「俺の酔った姿みてぇの？」
「是非！！あっ！いや！強制とかではなく！あの…できれば…一緒に食事…とかですね…。」
「今もしてるじゃねぇカ。」
「そうですけど！！そうじゃなくて！！」
難儀な青年騎士が顔を真っ赤にして狼狽える。
語尾が尻すぼみだ。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
