04.世話されるのがお好き ページ4
「お〜ま〜た〜せ〜」
「おはよー…ふへっwちょっと待って何その寝癖wwやばwww」
「うﾞうう、だってキットが車走らせ始めてから言うんだも〜ん！そんなのそのまま車走らせちゃうよお！」
「そのままここまで走ってきたのwwあははwww」
「うﾞう…いいもんもう！自分で直すから！」
「ごめんってwコンビニ寄ってよ、そこで直してあげるから」
助手席に乗り込んだ叶は笑いを堪えながらではあるがよしよしと宥め賺すように彼の頭を撫でる。ぶすーっと不貞腐れていたAは、しかし気を取り直して車を発進させた。
「…それにしても、ほんとに起きてそのまま来てくれたんだねえ」
「う？あー、まあ。身支度をどうしようかとも思ったけど、そうしたら時間掛かるし。何にせよ先に叶くんを迎えに行こうと思って」
「ふふふ、ありがとう。…そうだなあ、それなら…先にどこかお風呂入りに行こうか？」
「あ、まじ？それ助かる！銭湯行こう銭湯」
「先にコンビニ。僕喉乾いちゃった」
「ハーイ」
≠
「小腹が空いて“からあげクン”買ってきちゃった。食べる？」
「いいの？お腹空いてんでしょ？」
「全部食べちゃうと後に差し支えるからね。半分こしよ」
「わーい」
叶がコンビニにちょっと買いに行っている間に後部座席の様子は様変わりする。人呼んでダイニングモード。二列目シートがくるりと回転し三列目と対面状態になり、ウィンと後部座席の足元が開いたかと思えばセンターテーブルがせり上がってくる。生まれてくる時代を間違えた車だ。
Aも叶も後部座席に座り直し、テーブルにレジ袋やポーチが乗せられる。叶はポーチの中から櫛を取り出し、Aの髪を梳き始めた。
「…この後銭湯行くんだし、テキトーでいいよ？」
「そう言うだろうと思ったからスプレー使ってないの。僕がやりたいだけなんだから大人しくしててー」
「はーい」
「からあげクン食べてていいよ」
「いただきまーす」
「あとそのココアAのだよ」
「おお。ありがとう」
「どういたしまして。」
男友達というかまるで親子のようというか。Aは言われるままからあげクンに手を伸ばし、蓋を開けて一個を頬張った。
もごもごと口を動かすAに叶はくすくす笑い、髪に櫛を通していく。
「勿体無いなあ、Aは髪質が良いんだからもっと手を掛ければ綺麗になれるのに」
「人にされるのは好きだけど自分でやるのはめんどくさいからイヤ〜。」
「も〜。そういうとこだよ？」
続く (更新停止中)
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作者名：えーこ | 作成日時：2021年3月17日 17時
