悪魔の魅入り子、悪魔の見初め子<第三体育館組>

第２３話 ページ25

Aside


４人は“悪魔の見初め子”という存在に戸惑いと不安と恐怖とが入り混じったような顔をしていた



あいつらは何を思っていたんだろう

今となっては知ることができない

でも、俺と似たような存在だということを喜んでいたような気がする


貴「話が脱線したな

　 俺が“悪魔の魅入り子”
　 お前らが“悪魔の見初め子”

　 ここまではいいな？」


おばばを除いた全員が頷いたのを確認して話をつづけた


貴「貴族の男が姿を消した後、俺と子供２人は静かに暮らしていた
　 この子達も“悪魔の見初め子”だった」


それぞれの反応の仕方は異なったが、まあ、驚いていた


貴「その当時は知らなかった
　 俺も、あの子たちもそういう存在だとは知らなかったんだ
　

　 知っていれば、あのような最悪な結末は起こらなかっただろうに」

月「なにがあったんですか？」


俺は目をつぶると、意を決した


貴「ほんとうに偶然だった
　 外の世界でごく当たり前にチカラを使ってしまった
　 そして、魔法や魔術を生業とする者たちに目をつけられ、あの子たちは……」


そこまで言うと、察したらしい

途端に顔を曇らせた




今でも忘れられない








飛び散るアカ

とめどなく流れ続けるアカ

生暖かい、温もりがあるアカ



それと対照的に

青白く、色をなくしていく肌

冷たく輝く刃



そして、


すべてを飲み込まんとする闇




目を閉じれば、あの時の光景がよみがえる

ふとした拍子にあの時の声が聞こえてくる

夢の中で何度も繰り返される“記憶”




人と違えば、異端とされる


異端であれば、人の営みから外される


人の営みから外されれば、利用価値がある


利用価値があれば、高値が付く


その先は……




忘れたことはない

幾度となく、身をもって学んできた

それなのに……




後悔が後悔を呼び、終わることのない無限ループに囚われる



それでも、








今度は守るよ


君たちと同じ場所に行かせない


君たちに誓おう





「ご、めんね、、、ま、も、れなくて
　おね、がい、、、、、、生きて
　つぎ、おんなじ子がいたら、まもってあげて」






あの日、君たちは言ったね



「守れ」と



大丈夫、守るよ


約束も、彼らも



だから、君たちも守ってくれ

そっちに行きそうになったら、追い返してくれ




俺だけでじゃない



３人で守ろう

第２４話→←第２２話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す