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#09 ページ9

お姉さんがバックヤードに行って数分、男の人が出てきた。
 
 「こんにちは、店長の片岡です」
 「こ、こんにちは…すいません、突然…」
 「いえいえ、登坂の事ですよね」
 
 お姉さんがあらかた話してくれたようで、片岡さんは広臣の事を聞いたみたい。
 
 
 
 「いましたよ、彼」
 「えっ!ほ、ほんとですか!?」
 
 広臣って…現実世界の人って事!?
 
 「この美容室のエースとして、すごく頑張ってました」
 「エース…」
 
 広臣って、美容師さんだったんだ…
 
 「…あの、広臣はいまどこに?」
 
 そう聞くと、片岡さんの顔が曇る。
 
 
 なんとなく…嫌な予感がした。
 
 
 「…実は…彼…」
 
 
 ―――――
 
 真っ白な空間。いつもと変わらない夢の中。
 
 「今日は休めた?結衣」
 
 変わらない…はずなのに、私なんで…
 こんなに、緊張というか…鼓動が早いのかな…
 
 「…結衣?どうかした?」
 
 広臣はコテン、と首をかしげる。私は俯いて聞く。
 
 
 
 
 「広臣……ほんとは……」
 
 
 
 
 
 昼間、片岡さんは言った。
 






 『彼、事故に遭ったみたいで………』
 
 
 広臣は…事故に遭った…片岡さんは、事故に遭った後、広臣は救急車で運ばれて…それっきり、分からないって。
 
 



 
 「…死んじゃって……るの…?」
 
 そう言った途端、聞いてしまった後悔と、答えへの怖さで涙がこぼれた。
 夢の中なのに、こんなに泣くなんて…
 
 
 「…俺のこと、知っちゃったんだ…?」
 「っ…ごめん…なさい……っ私…広臣の事…」
 「…あは…どうなんだろう。俺もよく分かんない」
 
 広臣は何故か微笑んで言う。
 
 「俺、専門学校行っててね。卒業してから美容室に就職してさ」
 
 
 
 ―――――
 
 あの日は、店が忙しくて…息つく暇もないくらいだった。
 
 「ごめんな〜臣…」
 
 俺の先輩、直人さんが車で送るよって言ってくれたんだけど
 
 「俺の家、電車で三駅だから遠いっすよ?」
 「なら駅まで送るよ」
 「大丈夫大丈夫。お疲れっした!」
 「あっ、臣!」
 
 迷惑かけらんねぇよ。新米の俺を雇ってくれた直人さんに、これ以上…
 
 
 
 でも、今なら分かる。送ってもらえば良かったって。
 
 
 ほんの一瞬だった。
 後ろから光が当てられて、なんだろう、って振り向いたとき
 
 


 俺、すっげぇ痛かったんだよ。

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設定タグ:登坂広臣 , 三代目 , 三代目JSoulBrothers   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:NightMare | 作成日時:2019年5月20日 22時

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