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#15 ページ15

電気がついておらず、黄色いカーテンに当たる太陽の光が、ぼんやりと部屋を照らしている。
 カーテンが開けられ、空になっているベッド。
 
 そのうちの一つだけ、カーテンが閉じられている。
 
 規則正しい、機械の音が響く。
 
 
 カーテンを掴んで、深呼吸して…
 
 
 カーテンの開く音すら、ゆっくりすぎて、しなかった。
 
 
 
 「…広臣…」
 
 
 そこにいたのは、確かに、彼だった。
 ふんわりとした…茶色の髪…
 スッと通った鼻筋…長い睫毛…
 
 夢の中の、広臣と同じ…
 
 ゆっくり伸ばした手で、初めて、彼の手に触れる。
 
 
 暖かくて、大きい…男の人の手。
 
 
 
 ―――――
 
 「…ほんまに奇跡やな…」
 「…そうだね…」
 
 健ちゃんの言葉に、素直に同意する。
 
 夢に出てきた人に、現実で会えるなんて…奇跡だよ、本当に…
 
 それに、結衣さん、泣いてるけど
 
 
 凄く、幸せそうだから…
 
 
 
 「…俺じゃ、なかったんだな…」
 「ん?なにがや?」
 
 …何でもない。
 
 
 
 広臣のそばにいる、と結衣さんは言って、明日俺が迎えにいくことになった。
 
 「ありがとね、健ちゃん」
 「ええって別に。また飯いこうな」
 「え〜?健ちゃんの奢り?」
 
 と、冗談半分で言ってみたら
 
 
 
 「おう。奢ったるわ」
 
 え、なんか優しくない?
 
 
 「…失恋慰め会や」
 「…健ちゃん…」
 「アホ。んな情けない顔すんなや。ええ男が台無しやぞ〜」
 「うぅ…健ちゃぁん…」
 「わっ!やめろや!」
 
 俺、健ちゃんに一生ついていく…!
 
 
 ―――――
 
 何度呼び掛けても、何度手を握り返しても。
 何も返ってこない。
 
 …でも、広臣が息をしている…それだけで
 
 私、こんなにも満たされてるよ…
 
 
 改めて、広臣の周りを見てみる。
 
 シーツや広臣の服は清潔だけど、窓際に置かれている花瓶には、花がなくて、水すら入っていない。
 
 広臣をお見舞いに来る人…いないのかな…
 
 
 
 「…寂しい…?」
 
 そう聞いても、やっぱり何も帰ってこなかった。
 
 
 
 
 病室のドアが開いて
 
 「あれ、珍しいっすね」
 
 と、軽い口調の…外国人っぽい人が、シーツや服を持って入ってきた。

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設定タグ:登坂広臣 , 三代目 , 三代目JSoulBrothers   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:NightMare | 作成日時:2019年5月20日 22時

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