Dream Catcher (ページ12)

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#12 ページ12

結衣さんが言っていた「広臣」は、登坂広臣…という人で間違いはなさそう。
　そして彼は、数年前事故に遭って、それ以来ここには来れなくなったと。
　
　…結衣さんは…死んでしまった人に恋して、自分も死のうとしたってこと…？
　
　悲しすぎるよ…そんなの。
　
　「…あの、搬送された病院とかって…」
　「うーん…」
　
　それは聞いてない…片岡さんは言った。
　
　これはまた、彼に頼むしかないね。
　
　
　
　『えっ、医者の知り合い？』
　
　電話を掛けたのは健ちゃん。
　
　「頼む健ちゃん…健ちゃんしか頼みの綱ないよ…」
　『んなこと言われても…俺、全知全能ちゃうぞ…』
　
　さすがに健ちゃんもお手上げか…？
　
　
　『…一人おるよ』
　
　
　
　―――――
　
　健ちゃんと駅で落ち合って、待ち合わせたというカフェに入る。
　そこにはもうすでに人が座っていて。
　
　「すんませんね、直己さん…」
　
　長身に、ピシッとしたスーツ…ちょっと強面な男の人は、俺に名刺を渡してきた。
　
　「初めまして、小林直己です」
　「あ…初めまして、今市隆二です…」
　
　俺も名刺を渡すと、直己さんは「頂戴します」と俺の名刺を受け取った。
　すごく、礼儀正しい。
　
　「健二郎から聞いて、僕の方でも調べてみました」
　
　どうやら直己さんは、この地区一帯の病院のエリアマネージャーのようで、運ばれた患者や、移動した患者など管理しているという。
　
　…てか、こんな偉い人と繋がる健ちゃん何者…
　
　「登坂広臣…という人、三年前に事故に遭った後、市立病院に搬送されたそうです」
　
　搬送先は分かった。でも一番聞きたいのは…
　
　
　「…生きてますか…？彼は…」
　
　広臣、という人が、死んでしまったのか、それとも生きているのか。
　
　すると直己さんは頭を下げた。
　
　「分かりません…搬送された病院で、手術を受けたのは分かってます。それから助かったのかは…」
　
　分からないらしい…
　
　
　「でも、彼を手術した執刀医ならわかります」
　
　健ちゃんと俺は、その執刀医に会うため、明日丸一休むことにした。