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桜庭の胸に聴診器を当てる。心臓の音も正常だ。脈も。呼吸も。
倒れた瞬間、本郷の頭を一瞬で不安が支配した。もしかして桜庭の心臓に何か起きたんじゃないか、大動脈弁狭窄症による失神か、最悪な想像が頭を掻き回した。
「 ………脳貧血か 」
そしてそれは俺のせいでもあるのか。
本郷は溜息をついた。安心と、罪悪感。
脳貧血は、強いｽﾄﾚｽが原因であることも多い。
「 しばらく休んでろ 」
「 いやっ…俺そんな、」
「 休んでろ。…これは、お前が邪魔だから言ってるわけじゃない 」
ねじ込む様に言うと、桜庭が小さく頷いた。
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「 本郷先生。こんな所に 」
勤務終わり、本郷が廊下の隅でうなだれていると、Aが声をかけた。もう私服に着替えている。
「 他の先生、皆動揺してましたよ。本郷先生があまりに焦ってたから 」
「 …適当に言っとけ 」
「 それ私の仕事なんですか？ 」
ふふ、とAに笑って言い負かされて本郷はまたうなだれた。
「 あの…桜庭先生が、本郷先生と話したいって 」
「 何？ 」
顔を上げると、桜庭が現れた。この女、仲介まで。
「 …体調は 」
「 もう大丈夫です 」
傷つけた自覚があったのに、桜庭は思いの外平気そうな顔をしていた。前までは小さくなっていたのに、堂々としている。ふと隣で微笑むAを見て、ああこいつと仲良くなってから変わったのかと納得した。
「 俺…邪魔にならないよう一生懸命頑張りますから。今夜も宜しくお願いします 」
「 …おお 」
もう帰れ、と本郷がしっしと手を払うと、Aと笑いながら去っていく。
もしかしたら、意外とすぐになるかもな、と思った。
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「 田所さん 」
本郷が声をかけると、Aが振り向く。
今日もﾍﾟｯﾄﾎﾞﾄﾙを抱えて。
「 今日はあいつ良くやったよ 」
「 あいつ？あ、桜庭先生ですか？ 」
「 それ以外のことお前に言ってどうするよ 」
ですねぇとへらっと笑う顔を見て、本郷の口角も上がる。
あの時と比べ物にならないほど、桜庭は成長した。
「 あいつの成長は、お前のおかげでもある。これからも仲良くしてやってくれ 」
はい、と返事。
今度は赤くならないのか、と少し本郷は不満そうに口を曲げた。
本郷の悩みも、今はすっかり無くなった。
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NEXT>＞ 過保護のﾅﾙｾ
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(にゃん) - みさん» み さん初めまして！ｺﾒﾝﾄありがとうございます。とっても嬉しいです☺️この作品は私なりに納得する形で完結させているので、続きを書く予定は無いのですが… 最近ﾄﾞﾗﾏが再映されたからか沢山見てくださっていて嬉しいです。大好きという言葉、感激です！ (2022年9月23日 1時) (
レス) id: 9519cf6d52 (このIDを非表示/違反報告)
み - こんばんは。もう続きは書かないのですか？？このシリーズすごく大好きなので... (2022年8月19日 19時) (レス) id: f9fb7945cf (このIDを非表示/違反報告)
(にゃん) - ぱんださん» ぱんださん、ﾘｸｴｽﾄありがとうございました☺️！少しでもご希望に添えたら幸いです…！次も是非待っていてください<3 (2021年10月13日 1時) (レス) id: 9519cf6d52 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - リクエスト書いてくださりありがとうございました！次のお話の更新も楽しみにしています！！ (2021年10月12日 23時) (レス) id: eb0d942c02 (このIDを非表示/違反報告)
(にゃん) - 【御礼】ﾘｸｴｽﾄ、なんともう２つ頂きましたのでﾘｸｴｽﾄを締め切らせて頂きます！ありがたいです！！TT 最後まであとすこし、是非お付き合いくださいませ<3 (2021年10月10日 1時) (レス) id: 9519cf6d52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：(にゃん) | 作成日時：2021年8月20日 20時
