ナイトジュエリー 4nd

完璧のオブシディアン ページ9

「…マイクは？」



「切ってる。要求通り来たんやからな」



オブシディアンは先生が座る椅子に座った



人質として捉えられていた先生方は解放してもらったが、数十分の記憶が消えている



さらに、生徒たちのも



「ジェットに協力してもらってな。あいつ、他人の記憶も無くせるんや」



職員室には椅子に座るオブシディアンと



立っている重岡と岡本しかいなかった



「英語…綺麗だったよ」



岡本が口を開く



「ありがとさん。俺は完璧やからな」



オブシディアンはハンカチで口の周りを拭く



「…で？なんの用で職員室占拠したんや？」



重岡は強気な態度でオブシディアンに問う



「…ブラックダイヤモンド様は悲しんでたで。駒が1つ消えたって」



オブシディアンも態度を崩さない



「別に。悲しんでたからってそっちには戻らんわ」



重岡の言葉にオブシディアンの目が鋭く光る



すると、重岡は十字架に括り付けられた



「なっ!?」




「シゲ!!」



岡本は重岡を離そうとするが、オブシディアンに突き飛ばされた



「『心の結晶』取ってこいって言われてな。シリマナイトの取ったら喜ぶと思ったんや。…けど」



オブシディアンはそっと首筋を撫でる



「先に血ぃ吸わせてもらってもええか？」



そのまま重岡の了承も得ずに噛み付こうとする



「やめろぉおお!!」



叫び声が職員室に響いた



「…なんや？ただの完璧になりきれない弱虫が」


それは岡本であった



岡本は大きく息を吸い



「Don't move from there!!(そこから動くな!!)
Don't put you hand on my friend!!(俺の友だちに手を出すな!!)
…Retreat there!!Obsidian!!(そこから退け!!オブシディアン!!)」



英語でオブシディアンに注意したのだ



ーーー



「薮？なんでそんなに走るの？」



薮と伊野尾は沢山ある教室を虱潰しに見ていく



宝石の力を持ったもの以外、急に消えたからだ



だが、それだけでは無い



「おかしいんだよ…。欠席どころか遅刻に無縁なあいつがなんで来てないんだ」



伊野尾は答える



「んー。たまたまなんじゃなぁい？」



たまたま



その言葉で片付けていいものか薮は迷う



「とにかく探すよ!!オブシディアンのに巻き込まれてたら嫌だし」



しかし、伊野尾の言葉に薮の足は止まった



「ーーーがオブシディアンだったら？」

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