96話 エラ ページ46
ハルは誰かを探すように歩いている。きっとオウガを探したいのだろう。
それでも、会場には人が多過ぎてオウガの気配を探し出せない様子だ。
「ハル、オウガのこと探しているのでしょ?……こっちよ」
こういう時には狼獣人の出番、嗅覚を使ってオウガを見つける。アイス屋で合ったオウガとスーの匂いを微かに感じたのだ。
「すまねぇ、ありがとうエラ」
ハルの手を引いてその方向に向かう。
少し歩くと例の2人が誰かを探しながら歩いている。時々”ハル”という言葉が聞こえるので、こちらと同じ状況だろう。
やっぱり話しかけるのはまだ無理だ。エラはハルの後ろに隠れる。
「エラ?」
エラが後ろに来たのが気になったようだが、すぐにオウガの気配に気づいた。
「オウガ〜、ハルいたよ!」
「分かってる。ハルすまないが、少し話があるんだがいいか?」
オウガの問いにハルは頷く。きっと殺気の事だろう、エラも話を聞きたい。ハルの裾を引っ張った。
「私もその話聞かせて、あの殺気のような気配のことでしょ」
ハルは少し驚いたが、
「分かったよ、オウガもいいか?」
「別に構わんが場所を少し変えよう。何処にあの気配の主がいるか分からんからな」
と2人とも了承してくれた。
4人で人の少ない所まで来ると、スーが首を傾げる。
「ねぇオウガ、パーティ会場から離れちゃったけどどうした?」
オウガが簡単に説明すると、彼女は無言になった。
スーが少し拗ねたようだが、オウガが声を掛けて解決したらしい。
この殺気はどう考えても他国の者だ。
きっと
そういえば、エラの両親も
『お前なんか、いなければよかったのに』
『私達に迷惑かけるんじゃないよ。ずっとここにいなさい』
「っ……」
またあの2人___エラの両親が戻って来ていたら、またあの時のようにまともな食べ物ももらえず、薄暗い物置に一日中閉じ込められるのだろうか。
「いやっ……」
あの光景がフラッシュバックする。思わず涙目になった。
「エラ!どうした?」
エラの異変に気付いたのか、ハルが顔を覗き込む。
「っなんでも、ない」
零れそうになった涙を拭って前を向いた。
ハルは何か気付いたみたいだが、何も言わず頭を撫でてくれた。
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にゃん。(プロフ) - 終わりました。次の方は続編へどうぞ。 (2017年10月14日 20時) (レス) id: f23589347d (このIDを非表示/違反報告)
にゃん。(プロフ) - 更新します。 (2017年10月14日 20時) (レス) id: f23589347d (このIDを非表示/違反報告)
鳥になりたかった只の学生(プロフ) - 終わりました! (2017年10月2日 23時) (レス) id: 823189d60b (このIDを非表示/違反報告)
鳥になりたかった只の学生(プロフ) - 更新します! (2017年10月2日 20時) (レス) id: 823189d60b (このIDを非表示/違反報告)
悠琉(プロフ) - 終わりました! (2017年10月2日 14時) (レス) id: 287512228a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん。 x他7人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月20日 23時