【小説版】恋の契約とフェリーダ王国【Part.2】 (ページ42)

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92話ハルページ42

あの気配を感じ、オウガと合流しようとオウガの気配を探しながら歩き出すが人が多すぎて一つの気配に集中出来ず悩んでいると

「ハル、オウガのこと探しているのでしょ？……こっちよ」

エラは事情も話さず歩き出してしまっていたおいらを怒るでもなく後ろに着いてきてくれていたが、オウガを探していると分かったのかおいらの手を引いて嗅覚で探してくれているらしい。

オウガの気配がわからない今、エラの嗅覚だけが頼りなのは事実なので

「すまねぇ、ありがとうエラ」

お礼を言ってエラの手をずっと握ることしか出来なかった。

しばらく歩くとエラは急に立ち止まり、おいらの後ろに隠れた。

「エラ？」

不思議に思い声をかけるとすぐ近くに探していたオウガの気配を感じた。

「オウガ～、ハルいたよ！」

「分かってる。ハルすまないが、少し話があるんだがいいか？」

あっちもおいらたちを探していたのかスーちゃんがオウガにおいらが居ることを伝えると、気づいたのかオウガは冷静に分かっているとスーちゃんに言い、すぐに話を切り出した。

オウガが言いたいことはおいらと同じことだろうと頷き返すと、エラが後ろから服のすそを引っ張りこちらに話しかけた。

「私もその話聞かせて、あの殺気のような気配のことでしょ」

まさかエラも気づいていたのかと驚いていたが先程もエラの嗅覚の凄さを思い知ったばかりなのでもしかしたら獣人特有の何かなのかと納得した。

「分かったよ、オウガもいいか？」

「別に構わんが場所を少し変えよう。何処にあの気配の主がいるか分からんからな」

オウガも了承してくれたが、パーティ会場は人が多いこともあり少し会場から離れた場所へ移動した。

やっと人が少なくなっている場所に着くと、唯一気付いていないスーちゃんはオウガに話しかけた。

「ねぇオウガ、パーティ会場から離れちゃったけどどうした？」

オウガは簡単にだがあの気配のことをスーちゃんに説明し、あらかた理解したスーちゃんは何故か無言になった。

心配になり話しかけたら小さい声で何か言っていた。おいらは聞こえなかったがオウガには聞こえたのか

「すまなかった、今度何か作ってやるから許せ」

と、スーちゃんに謝りスーちゃんもやっと声を出してうんと返事をした。

おいらたちには分からなかったが２人の間で解決したのか、オウガはすぐに切り替え話をしだした。