62話 クロック ページ12
袋を縛っていた紐を解き、中身を確認する。木で出来た小箱が入っており、軽く揺するとカタカタと音がした。
「…間違いありませんね。良かった良かった…」
「なぁ、それって何が入ってるんだ?」
興味本意でだろう。アーロンさんが尋ねてきた。
「…詳しくは言えません。ただ、これにはちゃんとした持ち主が居る。その方に返すための段取りを踏んできたんですが…ぐちゃぐちゃですよ。」
そう言って小箱を元に戻し、袋を縛った。
「…さて、そろそろお暇しましょうか。長居すれば、予定が更に狂う。」
荷物をまとめてもらうと、クロックは着ていた燕尾服をキャリーケースに詰め込んだ。
「みっともない姿で歩くのはご免ですよ。新しい服を見繕わないと…」
普段は色白でやせ細っている体型を隠すため、わざと長袖の服で着膨れているので、シャツ一枚になると少し心細くなった。
壁掛け時計で時間を確認すると、頭の中で瞬時に予定を計算した。ギリギリのスケジュールだが、大丈夫だろう。
「それでは、失礼します。世話になった分は、今後返しますよ。」
手袋をはめ直し、キャリーケースを握ると、ふらふらと歩き出した。
「とりあえず、着替えを買わねばいけませんね。ここから近い服屋は…」
………分からない。思考はログアウトし、その場に固まってしまった。
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にゃん。(プロフ) - 終わりました。次の方は続編へどうぞ。 (2017年10月14日 20時) (レス) id: f23589347d (このIDを非表示/違反報告)
にゃん。(プロフ) - 更新します。 (2017年10月14日 20時) (レス) id: f23589347d (このIDを非表示/違反報告)
鳥になりたかった只の学生(プロフ) - 終わりました! (2017年10月2日 23時) (レス) id: 823189d60b (このIDを非表示/違反報告)
鳥になりたかった只の学生(プロフ) - 更新します! (2017年10月2日 20時) (レス) id: 823189d60b (このIDを非表示/違反報告)
悠琉(プロフ) - 終わりました! (2017年10月2日 14時) (レス) id: 287512228a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん。 x他7人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月20日 23時