98忍 桜、咲き誇る ページ8
でも私は始めに考えたやつで行こう。
変に目立つ必要はないからね。
私は机に放置していた鉢の前に戻って手をかざした。
「「クワンクワンっ」」
ん?
声が重なって私は隣の入間に目を向ける。
「入間は……」
「うん。魔術は使えないけど、ちょっとね」
「そっか」
自分の鉢に目を戻すとキレイで温かいコスモスが数本咲いていた。と、なごんだのもつかの間。
「うわっ!?」
入間の鉢がまばゆい光をまき散らし始めた。
あ、あれ、なんかメキメキと育って……
────────
────
──
「いやー……まさか咲くなんて思わなかったなー……。桜きれー……」
入間の苗は勢いよく育ち、植物棟の天井を突き破って美しい桜の大樹となった。
もちろん私たちに逃げ場などなく、ある者は枝に引っかかり、またある者は枝に
私は幸運にも太い枝に座れた。
ちなみにコスモスは死んだ。
私は近くの枝でえりが引っかかってぶらさがっているクララを助ける。
「ありがと舞梨ち! あれ、舞梨ちほっぺ血出てるよ。だいじょーぶ?」
「あ、ほんとだ。まあ大丈夫だよ」
言われてほおから血が出ているのに気づいた。
枝かガラスの破片で切っちゃったのかな。
私は血を手の甲でぬぐって入間を探しに枝を渡った。
最初は一緒の枝につかまっていたけど途中で枝分かれしてはぐれたんだよね。
「あ、いたいた」
道中数名のクラスメイトを助け、干された布団みたいに枝の上で垂れていた入間を発見した。
「大丈夫入間? 桜キレイだからあとでお花見しよう」
「ま、マイペースだね」
その後、植物棟を破壊して桜の花を咲かせた入間はそれはもう他生徒から
実は爆発魔も加担していたとかウワサがひとり歩きをしている。
植物棟を破壊したことに変わりはないと、入間は飛び散ったガラス掃除の手伝いを任された。
「まったくもう、誰も手伝ってくれないじゃん」
私はほおをふくらませながらホウキを動かす。
私はしなくてもいいけど入間とお花見したいから手伝っているんだ。
上には桜の近くでワイワイ宴会を始めているクラスメイトが見えた。
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作者名:氷雷ヒミツ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kawaikune/
作成日時:2021年5月6日 19時