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95忍 尾ひれ背びれ胸びれ ページ5

朝からさまざまな授業を受け、次は魔生物の授業。
 植物棟にて、教卓に立つ優しそうな雰囲気の先生はふわりと微笑んだ。


「アブノーマルクラスの皆さん初めまして。植物棟へようこそ。ここでは魔生物のお勉強をしてもらいます。魔生物担当のストラス・スージーです。ふいっ」


 ふい?
 スージー先生は小さな双葉の芽が出ている(はち)を全員に配って説明を始める。


「特殊な苗に手をかざして……クワンクワンっ」


 先生が呪文を唱えると苗がメキメキと育ち、目玉がついたピンクローズが開花した。


「ふいっ花が咲きましたぁ。この花で自分の魔力を形として見ることができます。コツは頭の中で完成形を思い浮かべることですよぉ。さぁみなさん始めましょ〜ふいっ」


 ふい……。
 口癖が独特すぎて気になる。


 まあとにかくどんな花にするか考えよう。
 周りを見るとすでに魔術をかけているヒトもいた。


 花、花……チューリップとかコスモスとか? キレイだよね。でも普通はない色の花とかも挑戦してみたい。


「おーい爆発魔! 今は爆弾使わないのかー?」

「!?」


 考えていると上から声が降ってきた。


「爆発魔じゃないっ!」


 爆発魔で反応するようになっちゃったけど(だん)じて認めない!
 抗議しながら振り向いて見上げると、数人の男子生徒がこちらを見下ろしていた。


「あのヒトたちは……」


 入間も男子生徒たちを見上げて呟く。


「上級生ですね。一年生のランクが発表されたのでチェックに来たのでしょう」

「へぇ……」


 あのヒトたち明らかに冷やかしに来てるけど。
 あーもう気にしない気にしない。


 そうだ、オレンジのコスモスとか温かくていいかも。
 苗に手をかざして、


「クワ」

「あっ、あいつ爆弾花咲かせる気だぞ!」


 咲かせないよ!!!
 私は再度振り向いて叫ぶ。


「爆弾作らないもん!」

「でもバビルス爆破計画立ててんだろー?」


 なにそれ!!?
 もはや陰謀(いんぼう)を疑うレベルでウワサに尾ひれ胸びれ背びれがくっついてるよ!?


「なるほど、バビルスの制圧は視野に入れていると」

「アズも信じないで!?」


 ここにいたら一生花を咲かせられる気がしない。
 私はいったん咲かすのをあきらめ、入間に話しかけた。


「入間、他のヒトの見に行こう」

「まだ咲かせてないみたいだけどいいの?」

「いいの」


 そして一緒に回ろうとしたときに事件は起きた。

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作者名:氷雷ヒミツ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kawaikune/  
作成日時:2021年5月6日 19時

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