102忍 説教3時間 ページ12
私たちは隠すようにハリガネがささった鍵穴の前に立つ。
「師匠は魔術で抜いてたよね……」
えっと、確かこう唱えていたはず。
私は鍵穴に手をかざした。
「スプリット」
スパッ
「「「…………」」」
鍵穴からとび出ていた部分のハリガネが切れた。
入間は
「『スプリット』じゃなくて『スリップト』だよ。アホご主人サマ」
「……ごめんなさい……」
師匠がボソッと呟く程度だったから聞き間違いを起こしていたようだ。
なんでうまくいかないんだろうなあ……。
うなだれる私の肩に入間がポンと手を置いてきた。
「大丈夫、今度はうまくいくよ」
「は？ 次はお前の番だよ入間」
「え、僕？」
戸惑う入間。
リッツはピッキング(失敗)、私は魔術(失敗)、で次は入間の番ってわけだね。
でも入間は魔術が使えないからむりだよ。リッツは入間が人間だと知らないからそう言うのもしかたないんだけど。
「あの、僕魔術は……」
「ちゃんと『スリップト』って唱えろよ。じゃあ
「はい！」
はいじゃないよ入間！？
入間は緊張した
「ちょっ、入間は魔力が──」
止めようとして言葉が止まる。
リッツに悟られないようどう説得すれば……。でも早く止めないと入間が人間だと気づかれかねない……！
「──とにかく入間はやめた方が」
「スリップト！」
「あああああ！」
終わった！ なにも起きずリッツに質問
ていうか入間も入間で言いなりにならないでよ！？
私はあわててリッツの前に立ちはだかって弁明にかかる。
「リッツ！ なにも起きないのは」
ドゴンッ！
「え？」
「うわやったな」
なにかが崩れ落ちる音。そしてリッツのあきれ顔。
私はおそるおそる振り向いた。
大穴が
「ご……ごめん」
真っ青になった入間はプルプル震えてこちらを見ていた。
その後、駆けつけた師匠に3人まとめて3時間ほど説教をされ、第2蔵書室の鍵を渡された。
「2度と、ピッキングなどなさらぬようお願いします」
「「「はい……」」」
▼第2蔵書室の鍵入手
▼ピッキングを封じられた！
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作者名：氷雷ヒミツ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kawaikune/
作成日時：2021年5月6日 19時
