【完】マジうぜぇ。触んな。【Kei I】

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伊「いつまで使ってんの、その似合わない敬語」



…バレてた。



『仕方ないじゃないですか。


相手は天下のアイドル様なんですし。


ていうか、伊野尾くんもアイドルだったんだね。びっくり』




伊「嘘だろ。多分、当時の全校生徒が知ってたよ。


Aちゃん以外の」



Aちゃん。



懐かしいな。



と、思ってしまう私はやっぱりまだ彼の事が…。



な訳あるか。



『伊野尾くんこそ、どうしたの、その頭。



王子様にでもなったつもり？きもい』



伊「あはは、きもいって…ぶふっ」



何故か爆笑された。


いやでも、懐かしいなこの感覚。


私が暴言吐いて、


伊野尾くんがそれに対して爆笑して。


伊「ふふふ。いや、でも本物の王子様に今から会うよ」


『ふーん』


伊「あ、興味ない感じ？」


『アイドルなんかに興味ない』


伊「相変わらず、冷たいね」



いつの間にかなくなってた、私が一方的に作っていた壁。


彼の冷たい目線も嘘だったかのように、今は笑顔だ。


私も思わず笑みがこぼれてしまった。


君も相変わらず人の懐に入るのが上手いね。



伊「…なんで、さっきはあんなに冷たかったの」


鼻をかきながら言う伊野尾くん。



『…さぁね。ていうか、早く行かなきゃだよ』



伊「あ、」



何か思い出したように声を上げる。



『…？』


伊「山田に、


王子に惚れんなよ」


口角を上げ、ちょっと格好つけて言いながら、車を降りた彼に向かって、



『きもっ』



と、ぼそっと呟いた。

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