【完】マジうぜぇ。触んな。【Kei I】

番外編＊８ ページ34

多「伊野尾さん、お疲れ様でした！」


伊「お疲れー」


廊下を伊野尾くんと歩いていると、多岐さんが後ろからテクテクと走って来た。


伊野尾くんの横に着くと、これもまた可愛らしい笑顔を浮かべて挨拶をする。



この子が本当に前のマネージャーを病院送りにしたの？世も末だ。



それにしても、熱愛でたその日に堂々とよってくるなんて相当図太い神経してる。



病院送りも納得するわな。



すると、多岐さんが私の後ろにちらっと目を向けたかと思うと、後ろから声がかかる。



菊「今夜楽しみですね」



『あー…そうですね』



男性と飲みに行くなんて数ヶ月前の私からしたら信じられないことだ。


でも、この鬱憤を晴らせる相手がこの人以外にいないのは事実。


理恵ちゃんは忙しいみたいだし。



『お店は決まってるんですか？』


菊「はい。このスタジオのすぐ近くです」



伊野尾くん家もここからそんなに距離ないし、助かった。


伊野尾くんを送ったらすぐ店に向かおう。



『それでは、彼を送ってから向かいます』




正直、この熱愛の件がなければ誘いには乗らなかった。


伊野尾くんには「好き」と言われたし、私も伊野尾くんが好きだし。


それが伝わるように態度を取っても(つもり)、伊野尾くんは違う女の子の家に行ったわけだし。



飲みに行くくらい、いいよね。



伊野尾くんの楽屋前で足を止めると、菊田さんは「じゃあ、また」と言って、別れた。



楽屋に入ると、伊野尾くんと多岐さんが相変わらずおしゃべりしていた。



はー、帰りたい。

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