【完】マジうぜぇ。触んな。【Kei I】

番外編＊７ ページ33

そんな日に、よりによって多岐さんと共演。


彼女がスタジオ入りした時、一瞬時間が止まったかのようにスタジオ全体が静まった。



多「おはようございまーす！よろしくお願いしまーす！」


スタッフによってカメラ前に促される彼女をじっと見ていると、隣に誰かの気配を感じた。




菊「この度は申し訳ございません」




ボソッと、横で謝る声がした。




『なんであなたが私に謝罪しているんですか』


菊「私の監督不行き届きで、」


『そうしたら私はなんなんですか。私だって相手のマネージャーですよ？


私もあなたに謝罪しなきゃいけないんですか？』



イラついて感情のままに言葉を発してしまった。


私らしくない。


こういうところがまだ子供なんだ。


『…すみません。失礼しました。

こちらこそ大切なタレントさんのイメージを、』



「なーに話してんのー」



私が菊田さんに謝ろうとしたら、邪魔者が来た。


カメラ前にいるはずのこいつがなんでここにいるんだ。


菊「あ、いえ、」


『監督不行き届きについて謝ってました』


伊「は？誰の？」


てめーのせいで私がだよ！


『私の』


怪訝そうな顔をする伊野尾くんは菊田さんを睨みあげた。



伊「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」



全然申し訳なさそうな顔してないけど。


むしろガン飛ばしてどうするんだよ。



『私の方からも、』


伊「Aちゃんは謝らなくていい」



『は、』


菊「いえ、こちらこそ」





スタッフ「伊野尾さーんスタンバイお願いしまーす」




伊野尾くんはそれに対して明るく返事をすると、もうひと睨みきかせて持ち場に戻っていった。



一体なんなんだ。



菊「ところで、西宮さん」



『あ、はい』



菊「今夜の予定は？」


菊田さんをじっと見上げた。

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