【完】マジうぜぇ。触んな。【Kei I】

１９ Inoo ページ19

手をつないだ後に、まるで汚い物を触った後かのように、掌を一生懸命に拭いてた。



さすがの俺でもあれは傷ついた。




男嫌いな子に、触れてってお願いした俺も悪いんだろうけど。




有「伊野ちゃん、西宮さんとはどうなの？」



なんて、俺が彼女の事で機嫌が優れていないのを承知の上で、聞いてくる馬鹿。



無視しようと思ったら、



八「それ、俺も思ってたんだよね。


本当にただのクラスメイト？


それにしては伊野ちゃんに対しての当たり強くない？」



確かに、気持ち悪いだの、触るなだの、うざいだの、言われる。ていうか、言われてきた。


彼女はツンデレなのか、ただツンツンしてるのか…


高校時代なんか、今より酷かった。


何より、彼女は本当に俺がジャニーズだと知らなかったのか、全く俺がクラスで浮いてる理由も知らなかったらしい。



彼女が転校した後なんかとくに酷かった。



大学に行く事を決めてなかったらどうなってたものか。




伊「あれが通常運転だよ」



今考えると、いや当時からだ。




本当に彼女の存在がなかったら俺は今頃どうなってたか分からない。




山「次、伊野ちゃん」



山田が一人での撮影から戻ってきたのと同時に、


さっきスタジオから出て行ったAちゃんが戻ってきた。



伊「俺、山田よりイケメンになってくる」



ドヤ顔で言ってやった。



皆は、「あっそ」って冷たく返してくるが、俺には関係ない。




なぜなら、この前JUMPの中で誰が一番タイプかAちゃんに聞いたら、




山田って即答された。



お世辞でも俺って言ってくれても良かったのに、



『あんたが一番苦手』って真顔で言われた。




嬉しくて笑っちゃったら、きもいって言われたけど。



なんでかというと、彼女は好きな物に対しては一番当たりが強いからだ。



先ほどの出来事を忘れて、



昔の事を思い出してニヤニヤしていてばかりで、




今、彼女が大きな勘違いをしている事に、この時は全く気付かなかった。

２０→←１８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す