【完】マジうぜぇ。触んな。【Kei I】

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『伊野尾くん入ります』


「「「おはようございます」」」


伊「おはようございます」


『おはようございます』



この夕方なのに”おはようございます”を言う事には当分慣れないな。


そもそもなんで”おはようございます”なんだろう、


なんて考えながら、皆がいるソファーやテーブルのある所へ伊野尾くんが向かうのを見送ると、



峰川さんと谷口さんがいる方へ行き、挨拶を交わした。



『お久しぶりです』


谷「あらぁ、ひさりぶりぃ！」


峰「お久しぶりです」


谷「どう？伊野尾くんの方は！」


お台場のテレビ局以来だ。


伊野尾くんの単独での仕事が多かったため、彼らとは一緒にならなかった。



『絶好調ですよ。どうぶつ園もまた是非と声をかけてもらえましたし、多分再来週辺りにはまた収録があるんじゃないかと思われます』




谷「いやいや、だからそっちじゃなくてぇ」



…え？



谷「こっちぃ」




右手の小指を上げてこそこそと言う谷口さん。




え、彼女？いたの？



…そう、なんだ。



なんか、一気に…



『知りませんよ。プライベートの話は一切しないので』



谷「あらぁ、一応聞いといてもらえない？


こっちで色々バレないように管理しなきゃ行けない事もあるから」



『はい。わかりました』



そうだよね。


２５だもん。


彼氏いない歴＝年齢の私とは大違いだよね。


そもそも男嫌いな私がそんな事になる訳無いじゃん。



ていうか、私は何を期待してたの？



もう一回、直接じゃないけど、断られてるんだから…。




でも、じゃあ、なんで手をつないで来たんだよ。



なんなんだよあいつ。



高校時代の私を知ってるんだから、男の子は苦手だって知ってるでしょうが。



『すみません。ちょっと、お手洗いに』



なんか、お腹から出てきそう。



撮影の邪魔にならないようにスタジオから、静かに出て行き、





一番近いトイレに駆け込んだ。



入った瞬間、糸が切れたように涙が止まらなくなり、尚且つ昼食が口から出てきた。



生理前だからかな…。



いっつもお腹の調子悪くなるんだよな。




胸の痛みは嘔吐による胸焼けのせいだと、自分に言い聞かせ、



込み上がってくる感情を吐き気とともに押し殺した。




自分一人で舞い上がっちゃって馬鹿みたいだ。

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