絶対逃がさない。【歌い手】

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「や、あの、先に開けに行って欲しい」



「ダメ」






立ち尽くした私を担いだ浦田君





「選ばねぇから選択肢にないやつにした」








そう言って、彼はそのまま歩き出す





「もう、置いていけない。」






「……重いのに…」






「さっきも思ったけどさ、俺のことナメないで…お前くらい余裕なんだから」







そう言われて諦めた。






*






*




出口にそろそろ着く、






そう思った瞬間








「………行かせない」





出口の前に、口元に笑みを浮かべた奴がこちらを見ていた









奴に先回りされていたことに気づいて、
失敗したと思い知らされる。





「へぇ…それで行かせないなんて言えるんだ」






私をそっと降ろした彼は私の手にじゃらっと鍵を渡すと






「お前がとりあえず持っとけ」







そう言って、手を掴んで来た道を戻り始めた






「今度こそ、逃がさない！！」




後ろからそう叫んで追いかけてくる奴




急にばくばくと心臓の音が大きくなった。








私なんかを連れて走ったら足手まといのはずなのに、浦田君は私の手を握る力を緩めてはくれなかった。








「A…それで開けろよ？」






浦田君にそう言われて、とりあえず頷く。







ものすごい勢いで、背後から来るのがよくわかる







その瞬間、



「ぐぁぁっ…またかよ…また、邪魔しやがって」





そう叫びながら、近づく様子がない






「よし、走るぞ」






その隙を狙って、浦田君とまた走った

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