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「へぇ」
オバケ屋敷……なっつ。
そうそう、昔来た時もオバケ屋敷ってケッタイな姿見せてはったわ。
ちっさい頃はアホみたいに背ぇ高い不気味な建てモンや思うてたけど、大人になって改めて見たら「あぁこんなモンか」ってカンジ。
今「コワイコワイ」言いながら兄弟連れが入ってく。
まるで昔の俺とヒナを見てるようで、笑みが溢れた。
「さて、と」
ま、俺は最初から入るつもり無いから。
コレ行ってまで涼を求めようとか思うてへんし。
タツんトコへ戻ろうと踵を返した瞬間。
「……ぅわっ!」
思っきし腕引っ掴まれて、グイグイとオバケ屋敷の方へ引っ張られてく。
「なんやねん?行きたいならそう言えや」
「それともオレ来るん待ってたか?はは」
「ヒナッ……」
Tシャツの袖捲って。
鍛えられた腕に俺のほっそい腕が絡まってんの見ただけで、心臓がトクンと跳ねた。
「お前……!」
「今日はフットサルの用事あるって……」
「あぁ、すぐ終わらせた」
「それに遊園地の言い出しっぺはオレやからな」
「前にも言うたやろ?」
「オレがすばると最後に来たいトコやった、て」
「今日逃したらもうアカンやん、な?」
「…………」
行く先に抵抗しながらも結局はチカラ負けして最後尾に並んだら、腕ガッチリ掴んだままヒナが柔らかく笑った。
「まっさか最後にココ入る事になるとはなぁ」
「いやいや」
「俺、オバケ屋敷入るとか言うてへんやん?」
「ウソつけ」
「目ぇ細めてめっちゃ入りたそうな顔してたやん」
「それは……っ」
暫く来ない思うてた順番があっという間に俺らの番。
どっかで怖い思うてる条件反射からか、絡まってたヒナの腕をグッと掴んだ。
「すばる……離れんなよ」
「っ……」
耳元でコッソリ囁かれて。
それがなんか悔しかったけど、それ以上に心地良いカンジがした。
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パスオレ - はじめまして。去年からにがこさんのファンになった者です。…もうお話を書かれることは無いんでしょうか?更新されない理由があると思うのですがまた話を書いて欲しいと勝手に思っております。 (2020年6月10日 21時) (レス) id: 4c799f114d (このIDを非表示/違反報告)
くみみ(プロフ) - にがこちゃん、お久!元気そうでよかった(^^)遊園地のお話、全部ほっこりしたよ^ ^忙しいだろうけど、次のお話も楽しみにしてるね!いつも簡単な感想でごめんねー!言いたいことはたくさんあるけどまとめきらん(笑)また来まーす! (2018年8月9日 7時) (レス) id: 25ca1c6f08 (このIDを非表示/違反報告)
華子うさぎ(プロフ) - 次はどんなシチュエーションになるのか、誰と誰がペアになるのか、いつも楽しみにしています。皆、ハッピーエンドなのが心温まります。 (2018年8月8日 13時) (レス) id: aa2503f596 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 凄い…ヒナちゃん、お見通しマンやん…良かったね、すばるくん(´;ω;`) (2018年8月6日 19時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
にがこ(プロフ) - ねこ。さん» ねこ。さん、ありがとうございました!遊園地出てくるまでどんだけ時間費やしてん?でしたが、思い出の場所として書けて良かった。次もいろいろ考えてます。良かったらまた遊びに来て下さいね! (2018年4月16日 16時) (レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にがこ | 作成日時:2018年3月2日 17時