10 ページ27
「課長」
「遅くなってスンマセンでした」
宿泊先の旅館に着いたら、部屋の場所聞いて誰より先に侯くんに会いに行く。
……てか、ナンデ?
ヤマダくんに部屋割の話してたのに、何で俺と侯くん別々の部屋になってんの?
「……おぉ、オツカレ」
「……上手くいったみたいで良かったやん?」
同室のマツバラくんと談笑してた侯くんに近寄ると、フイと俺から目を逸らした。
あれ……怒ってる?
俺、疚しい事なんか何もしてへんのに。
それにほら。
無理に顔作ってるから、やっぱ侯くん疲れてるやん。
このままじゃアカン。
早よ2人っきりなって侯くん安心させたい。
……となれば。
「なぁヤマダくん」
「俺とマツバラくん、部屋交代してもエエか?」
「えっ!!」
和やかに話してる3人に割って入ったら、ヤマダくんが驚いた表情で俺に目を向けた。
「や、今日の事いろいろ報告しときたいし」
「今後の対策とかも練っときたいし」
「別に支障無いやろ?頼むわ」
「……あぁ……はぃ」
まぁ、今話す事ちゃうけど。
俺とヤマダくんが同室なってたのを理由付けて交代すると、マツバラくんの広げてた荷物強引に纏めて2人を部屋から追い出した。
「……はは」
「そんなんしたったらマツバラくん可哀想や……っ」
顔合わせないまま侯くんが薄ら笑いを浮かべたから、荷物も何もかもそっちのけで侯くんを抱き締める。
「……ゴメンな、心配掛けた」
「……エエよ」
「寝てもぅたんならしゃあな……ぃ」
ズズッて鼻を啜る音がして身体離したら、今にも泣き出しそうな侯くんの顔見て眉を顰めた。
「ちょ、何で泣くん?」
「俺……連絡せずに泊まったんは悪いけど」
「侯くんが誤解する様な事何にもしてへんよ?」
「気になる事あるんやったら言うて」
「ヒミツゴトは作らへん約束やろ?」
「ぅ……」
まだ頭を横に振って否定するから、オデコ同士コツンして侯くんの顔じぃっと眺める。
そしたら漸く観念したか、侯くんの視線がゆっくり俺に向いた。
「思い出してん……そういや俺も同じように」
「章大に同行して謝りに行ったなぁ……って」
「ぉん、そやったね」
重ねたオデコ少しだけ擦り合わせたら、すぅっと深呼吸して侯くんは続ける。
926人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パスオレ - はじめまして。去年からにがこさんのファンになった者です。…もうお話を書かれることは無いんでしょうか?更新されない理由があると思うのですがまた話を書いて欲しいと勝手に思っております。 (2020年6月10日 21時) (レス) id: 4c799f114d (このIDを非表示/違反報告)
くみみ(プロフ) - にがこちゃん、お久!元気そうでよかった(^^)遊園地のお話、全部ほっこりしたよ^ ^忙しいだろうけど、次のお話も楽しみにしてるね!いつも簡単な感想でごめんねー!言いたいことはたくさんあるけどまとめきらん(笑)また来まーす! (2018年8月9日 7時) (レス) id: 25ca1c6f08 (このIDを非表示/違反報告)
華子うさぎ(プロフ) - 次はどんなシチュエーションになるのか、誰と誰がペアになるのか、いつも楽しみにしています。皆、ハッピーエンドなのが心温まります。 (2018年8月8日 13時) (レス) id: aa2503f596 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 凄い…ヒナちゃん、お見通しマンやん…良かったね、すばるくん(´;ω;`) (2018年8月6日 19時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
にがこ(プロフ) - ねこ。さん» ねこ。さん、ありがとうございました!遊園地出てくるまでどんだけ時間費やしてん?でしたが、思い出の場所として書けて良かった。次もいろいろ考えてます。良かったらまた遊びに来て下さいね! (2018年4月16日 16時) (レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にがこ | 作成日時:2018年3月2日 17時