シチュエイターズ vol.８

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やけに顔が火照ってしゃあない。
くっそ……体調また悪化したやろか？

それとも今の状況に沸騰してる？


「あぁ？オマエ誰やねん」


「…………」


おん、間違ってない反応。
そらいきなり着ぐるみが間に入ってくるんやもん。

アイツが厳つい顔してごっつガン見してくるけど、深呼吸し続けた。


「も、もうやめませんか？こんな事……」
「今の関係続けてたって、お2人が幸せになる道は無いって僕は思います」


「…………」


「僕聞いてたんです」
「アナタが夏、ココでリョウ……くんの事言うてたの」

「そらま、恋愛っていろんなカタチあるから何とも言えませんけど」
「流石に欺いてまで付き合う、ってのはどうかと」


「はぁっ？」


「アナタは最低です」
「だから……コレ以上リョウくんに構うのは止めた方がエエです」

「リョウくんには、もっと相応しい相手が絶対いてる」
「例えば僕……っ」


「…………」


熱くなって暴走しそうになったんを慌てて止めた。
アカン、コレは今言う事ちゃう。


「は……どういう事？」


リョウの表情が曇る。
あまりに衝撃的な現実を突きつけられて、混乱してもうたやろか。

こうなった責任、取らなアカンよね。
大丈夫やで、リョウには僕が付いて……。


「ちゃうちゃうちゃう！」
「タヌキさん、それオレちゃうから」

「あんのバカ」
「性懲りも無くまだそんな事やってんのか」


……へ？


「はっはっはっ」
「あー、また間違われてもうた」

「そら見た目一緒やからしゃあないわなぁ、オニイサン」


「おに……？」


ついさっきまでの雰囲気を打ち消すように、今度は腹を抱えて笑うリョウと困惑した『オニイサン』の姿。


「あーも、マジでキツイわ」
「双子の弟とンな事で間違われるとか」

「タヌキさんの誤解無いよう言うとくけど」
「オレはアイツと違うて全然フツーなヤツやからね」


慌てる『オニイサン』見て漸く状況が飲み込め、僕もただただ平謝り。
それを見てゲラゲラ笑うってリョウって画が暫く続いた。


「かなわんわぁ」言いながら先に屋上を出て行った『オニイサン』を見届けたら、リョウと2人きりである事に気まずさ感じてソワソワする。


「あー、おもろかった」
「ケンカなるトコやったから助かったわ」

「ってかマル……タヌキってそんな声してたんや」

「……良かった、やっと聞けて」


「んぅ？」


隣で呟いたのが聞こえて顔向けると、少し低い位置から僕を見上げ、リョウがニカッと笑うてた。

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