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「はい、コレ持って？」
傘を渡されたら、膝の上に置かれた箱に再び手を伸ばす。
かなりハズいけど今なら大丈夫って、隣でソワソワしながらフタが開くのを待った。
あれ？……となれば。
先輩がくれたチョコ……何であんな事書いてたんやろ？
「わっ！」
フタを開いた途端先輩が驚く。
やって、デカデカと『ショータ』って名前の書かれたハート型が現れたから。
「はは」
「さすがにアピールし過ぎやろ？コレ」
「えー、だって」
「俺が貰ったチョコやって、デカデカと『ユキ』って書かれてたんやで？」
そう、確かに書かれてた『ユキ』の文字。
学校の中で唯一マツバラさんの名前だけが『ユキ』やったから、てっきりアノ人が作ったんかと……。
「ねぇ、何で『ユキ』って書いた？」
やっぱり疑問に思うて先輩の顔見たら、茹でダコみたいに真っ赤になっとう。
「おま……そっち渡してた？」
「ちゅうかソレ、思っきし失敗作な方渡してるやん」
「だから手紙も入って無かったんや」
「処分したはずやのに……マジか」
「ウソやろ？」「じゃあ手紙は？」って焦る先輩を微笑ましく眺めながら、アノチョコの何が失敗やったんか考える。
ユキ……ユキ……ぁ、もしかして。
「うわ、もしかして」
「『ユキ』やなくて、『スキ』って書こうとした……とか？」
ニヤニヤしながら顔覗いたら、オデコ同士コツンとぶつかってグリグリ擦り合わせて来た。
「……うっさい」
「うわ、とか言うなって」
「板チョコ3枚をただ溶かして固めたらむっちゃ堅なって」
「せめて文字で誤魔化そう思うたら『ユキ』になってもうたの」
「あはは」
「名前書くんが新しいアピール方法か思うてた」
「せやから俺もマネしたのに」
「……あぶな」
「んじゃ章大が直接『マツバラ』ってヤツに渡してたら、ひょっとしてそっちでどうにかなってたんちゃうん？」
「ぁ、」
「うわ、アカンアカン」
「今度から慣れへん手作りモンは絶対やめとこ」
寒いはずやのに額から汗が吹き出た先輩に、今度は俺から抱きついた。
「大丈夫やって」
「俺……ずっと先輩だけやもん」
「ふ」
抱き返してくれた先輩はあったかくて。
温もりを教えてくれた雪に改めて感謝する。
冷たい雪も溶かしてまう程あったかい、俺の大切な『お兄ちゃん』で大切な『恋人』。
暫く離れ離れになるけど俺らきっと大丈夫って思えるんは、今降ってる『雪のせい』って事にしてもエエよね？
おしまい。
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にがこ(プロフ) - ねこ。さん» ねこ。さーん、コメントありがとうございました！寂しい方向に走りがちな短編集ですが、どうにかハッピーエンドで終わって良かった♪そして新作始まりました。ぼちぼちやってるので遊びに来てやって下さいね♪ (2018年3月3日 11時) (
レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
にがこ(プロフ) - 蒼乃碧さん» 蒼乃碧さーん、コメントありがとうございました！大好物、最後まで出し惜しみしてしまいましたね 苦笑。新作おまたせしました♪またまたお付き合いヨロシクお願いしますね！ (2018年3月3日 11時) (レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
にがこ(プロフ) - ちかさん» ちかさーん、コメントありがとうございました！ドキドキ無事お届けできたみたいで良かったです♪やっぱりのゆっくりペースですが新作始めましたヨ！ついて来て下さい！笑 (2018年3月3日 11時) (レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
にがこ(プロフ) - じゅんじゅさん» じゅんじゅさーん、コメントありがとうございました！思いきり季節に乗っかった雪シリーズ、楽しんでもらえたみたいで良かったですヨ！暖かくなってきて新作公開です！また遊びに来て下さいね♪ (2018年3月3日 11時) (レス) id: bfbb34681f (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - お疲れ様でした！紫さんの不器用さと青さんの心境にもどかしさを感じながらも最後に二人が結ばれて良かったです。新作楽しみに待ってます。お仕事も大変かと思いますが、程よく頑張って下さい！ (2018年2月9日 23時) (レス) id: 8ebe5b6d90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にがこ
| 作成日時：2017年11月23日 17時
