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好きな人から何かを教えてもらうとその何かを見る度に好きな人のことを思い出してしまうらしい。
じゃあ、私はきっとミートボールをみたら古川さんを思い浮かべてしまうだろう、と思った。ミートボールは失礼か。
彼女は思ったよりよく喋る人だった。
さっきも私のお弁当箱の中のミートボールを見て、ミートボールの豆知識やら美味しい食べ方やらを嬉しそうな顔をしながら話していた。ミートボールが好きなんだそう。
じゃあ、今度ミートボール多めに作ってくるから古川さんにあげるね。というと彼女はどこかぎこちないが、思わず魅入ってしまうような綺麗な笑みを浮かべた。
そしてしばらくして静かに語り出した
彼女はたくさんの事を話してくれた
本当は皆と仲良くしたかったけど意地を張ってしまっていたこと
ずっとずっとひとりで寂しかったということ
だから私に話しかけられて嬉しかったということ
包み隠さずぜんぶ私に話してくれた
「こんなこと望月さんに言うのも変だし、いまさら何言ってんのって感じだよね。だって私ずっと酷い態度とってきたし」
彼女は長くて綺麗な髪の毛先を少量指に絡めながら、困ったような笑みを浮かべた。
……酷い態度？
「……わかってるよ。人としてなってないし、恥ずかしいことしたなって思ってる。反省してもしきれないよ」
だから、話しかけてくれたのは嬉しいけど……正直、望月さんに私なんかは釣り合わないんじゃないかって思ってる。
彼女はそう言った。でも私はそんなこと思わない。
私は彼女に話しかけたくて話しかけたし、そのことを後悔してない。もちろん、今の話を聞いてもだ。
それに、私にだけ本当のことを話してくれたのは嬉しかった。今のところ私としかちゃんと喋ったことがないみたいだからそれはそうかもしれないけど。……でも、ちょっと距離が縮まったみたいで嬉しい。それより酷い態度って何の話なのだろう。
『ぜんぜん、そんなことないよ。だってもう反省してるんだよね？それだけで充分素敵だよ！』
「……え？」
信じられないといった顔。
彼女の奥目気味の瞳に光が宿った。
『逆に話さない理由がそれだけで良かったよ。本当に嫌われてるのかと思ってたから。勇気をだして話してくれてありがとう！』
「…………なんで怒らないの？私酷いことしたよ。望月さんだけじゃない。みんなに酷い態度とったよ」
『……あの、そのぉ……』
「……うん？」
『酷い態度ってなんの事かな……？』
変な質問してごめんね……
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作成日時：2022年8月27日 8時
