【wrwrd!】出逢いを花束に代えて Ⅰ (ページ45)

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「桃色、契約したって。」

「…は？」

今まで浮かべていたへらりへらりとした笑みが彼の顔から消えた。今までAに余計な人間が寄り付かないように手を回していたのは彼だ。彼女が下位吸血鬼の中で一番信頼を置いているゾムでさえ、毎回顔を合わせたら殺し合う程対立しているのに。主人があの青年だと知ったらどうなることか。

「…彼女の名前は？」

「……A。」

「A、ねぇ。」

噛み締めるようにその名前を呟く紺色。手袋を外した右手の指で、自らの唇をなぞる。恍惚とした顔で、再度その名前を呟くと、小さな笑いをこぼした。

「ふふっ……みっどぉ、お薬頂戴。」

「ハイハイ。」

正直その気持ちは理解できないし理解したくない。
色欲の紺色。彼の桃色に対する依存は、いつぶち切られるのだろうか。

「ｰｰｰｰｰｰ絶対、見つけてあげるから。」

紺色の吐息混じりのねっとりとした言葉が耳に入る。異常なほど愛が絡んだそれを、聞かなかったふりをして。オレはオレで、再度言葉を紡いだ。