【wrwrd!】出逢いを花束に代えて Ⅰ (ページ44)

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あいつらが吸い込まれる前に、最後に聞こえたロボロの声。
『また』。そんな言葉は一体叶うのか。叶わないのか。…俺は、人を信じてはいけない。

すぅ、と本棚の一角から光が漏れる。閃光が弾けた音と、こつりこつりと続く革靴の音。そこに現れたのは、カッチリとしたスーツに身を包んだ、濃紺色の髪をした男。赤いネクタイをきつく締め、重そうな眼鏡を掛け、特徴的な高めの声を引き摺り、少し驚いた様子でそれを発する。

「…あれっ、おかしいなぁ。ここに居ると思ったんだけど。」

「イマサッキまでいたよ。一足遅かったネ、コンチャン。」

現れたのは、深い深い紺色。俺達兄弟の中でも、末っ子。体の年齢は一番年上だけど、サーヴァンプとしては、末っ子。なんでかって？…マァ、そのうちワカルンジャナイ。

「あちゃあ…みっどぉ、分かってるなら引き止めてくれてもよかったのに。」

「用事があるみたいだったから。」

「あーあ、また探さないとなぁ。」

紺色は随分と桃色…Aに執着している。二人は、俺らの中で唯一、昔接触があった。昔何があったかは知らないし、知りたくもない。異常にAに執着する理由は何百年経っても本人の口から語られない。…だけど、Aを見ている時の彼の目は、誰から見ても明らかな程狂気と愛情で孕んでいて。特別な感情を抱いているのは、分かりきってる。

「…一つ、教えてアゲヨウカ。」

「何？」

先程Aが座っていた椅子と同じ椅子に腰掛ける紺色。机に適当に積んだ魔導書を手にとり、分かりもしない癖にぺらりぺらりと捲りながら眺めている。