【wrwrd!】出逢いを花束に代えて Ⅰ (ページ37)

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「…A、ソロソロ。」

「はぁい。お薬の時間ね。」

兄弟に初めて呼ばれた今の私の名前。慣れない感覚に少し擽ったい気もする。彼の呼びかけに応えるように近くの丸太に腰掛けた。

「そうイエバ、ゾムが探しテタヨ。ココニモキタ。」

「あぁ、置いてきちゃったからなぁ。」

家に置いてきた下位吸血鬼(サブクラス)…私の最初の下位吸血鬼。自分の手下である、吸血鬼。赤色や青色、そして私はまぁまぁな数の下位吸血鬼を持つ。…緑色なんて、そんな話は聞いたことがないけど。
早いうちにゾムを迎えに行かないと、と心の片隅に書き記した。

「あと、KCもサガシテタ」

「はぁ〜い…」

赤目の下位吸血鬼。彼は妙に過保護だ。そろそろ、自分の街にも帰らなければ。

緑色はローブをばさりと翻し、内側からちいさな物を取り出す。包み紙に包まれたそれは、吸い込まれるようにぽとりと私の手に落ちる。かさりかさりと慣れた手つきでそれを解けばまあるいキャンディが現れる。遠慮なく口に放り込むと甘い甘い葡萄の味が口全体に広がった。