裏方サポート (ページ4)

今日:3 hit、昨日:20 hit、合計:8,821 hit

初めましてページ4

今日は人通りがいい。
もしかしたら私の演奏を気に入ってくれる人が居るかもしれない。

そう思いながらアンプとコードを繋ぎベースへ繋ぐ。
そして音量調節や設定をいじる。

チューニングは大学で整えたので早速引き始めようと思った…が。

私がベースを弾こうとしたら、もう目の前に立ち止まっている人がいる。

(え？まだ弾いてませんよ！？音色聞く前に立ち止まってくれるとか初めて！！えなんか怖い)

怖さと嬉しさでよく分からなくて、とりあえずいつも通り弾こうと、手を構えて前を向いた。

ばっちり、目が合った。

(えがっつりこっち見てたのー！？恥ずかしいんですけど！目が合って動揺したけど適当に目を逸らした)

今日の選曲は洋楽。
日本の歌より海外の歌の方がベースが強くてカッコイイんだ。

自分の音色に惚れ惚れしていると。
突然目の前にいる人が声を発した。

「俺の！俺のベースになってくれん？」

(え？〝俺のベースに〟？？
どうゆうこと？聞き間違えかな、えどうゆう事？)

聞き間違えだろうと思い、その人へ聞き返す

『すみません。なんて言いましたか？』

「俺のベースになっ……ん？俺の…俺のベースに。。」

『？』
(何が言いたいんだ)

「あっっ！！違う！！違うくて！！俺のバター！！いや俺のバンド！あの！えっと」

『ふ、はははっ…落ち着いて下さい？何ですか？』
(俺のバター？面白い人だな)

「あ、恥ず…あの良かったら、俺のバンド入りませんか？」

！？

勧誘だ！！
嬉しい。けど、即決は出来ない。
路上ライブやってて何度か〝バンド入って〟って言われたけど大体の人はナンパだった。

悲しくて、悔しくて仕方なかった。

でももしかしたらこの人は信じていいのかもしれない。
なんか確信は無いけど信頼出来る。
何でだろう。
いくら信頼できてもどんなバンドか、聞かなくちゃ。ナンパかも…しれないし。

『ちょっと、考えてもいいですか？』

「あ……はい」

『あー、じゃあ一時間後にまたここで会いましょう？お話聞かせて下さい。』

「はい！！！」

何だか煮え切らない表情だったので渋々条件を出すと、耳やしっぽが生えたように見えた。幻覚？

そして一時間後

その人は耳やしっぽをゆらゆら揺らしながら一時間、近くに座って大人しく聞いていた。

こんなに私の音をじっくり聞いてくれた人なんていなかった。
泣きそうになってしまったけど、堪えて音に乗せた。
きっと今までで一番綺麗な音だったと思う。