過去 ページ30
先生はそれでも私の手を放してくれず、私はだんだん無抵抗になる。
「……ごめん、なさい」
もうしません、とうわ言のように呟く私を見て、先生は微笑んだ。
「いいよ、許してやろう」
優しく頭を撫でられ、私はおかしくなった。
「……ありがとう、ございます」
先生は突然私の首を掴んだ。
「……だから、なぜお礼を言うんだ」
答えようにも、自分にも答えがわからない。
首を絞める力は強くなり、私はベッドの上でもがこうとした。
濡れた手がシーツにあたる。
傷のない方の手で先生の手を剥がそうとしたが、当然不可能だった。
「……っ、いき、が」
苦しい。
酸素が全く入ってこない。
「たす、けて」
先生はふっと笑った。
まだ本当のことを知る前に見た、あの恐ろしい笑みだ。
「……いつも思っていたが、お前が苦しんでいるのはいつも俺たちのやったことであるのに」
歪んだ笑みが、綺麗だった。
「俺たちに助けを求めてくるのは、腹が立つが、愉快でもある」
意識を失うギリギリのところで手をはなされ、私は咳き込んだ。
先生の瞳が、揺れている。
何かを迷うように、ゆらゆらと。
私は一つ聞いてみることにした。
「……私は、外に出たことはないんですか」
「……お前は外に出たことはないよ」
先生は、残酷に言う。
「これからも決して出ることはない」
「先生、でも」
私は先生を見上げた。
視線があった。
「私には、外に出た記憶がある」
目に見えて、彼は動揺した。
そこで、突然思い出した。
「そのとき、私の横にいたのは、あなたでしょう」
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Niko(プロフ) - 続きがある......！まさかまた続きが読めると思わなくて驚きと感動で胸がいっぱいです......！ (7月24日 1時) (
レス) @page34 id: e6a8d0ae57 (このIDを非表示/違反報告)
チップ - すごく楽しみです！更新待ってます^_^ (2021年12月12日 22時) (レス) id: d533d9fa91 (このIDを非表示/違反報告)
Natsuki(プロフ) - ドキドキする展開です！続きが気になります^ ^ (2019年1月25日 1時) (レス) id: 2709160c1d (このIDを非表示/違反報告)
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