恐怖 ページ50
解熱剤のおかげか、私は暫く眠っていたが、
ひゅっ、と息が詰まって目が覚める。
慌てて呼吸をしようとはするが、焦れば焦るほどうまくいかなかった。
「どうした」
そばに座っていた深見先生が、私の背中をさすった。
「……息が、」
咳き込んで、助けを求める。
呼吸も、心臓の鼓動も、不規則だった。
「たすけて、」
「……ゆっくり息を吸って。そう、そしたらゆっくり吐いて」
何度も深呼吸を繰り返すが、度々息が止まる。
もがいてももがいても、酸素は入ってこない。
死ぬのではないかと恐ろしくて、涙が頬を伝う。
「……せんせい、死にたくない、」
先生は、私を見た。
……瞬間、ぞくりと悪寒が走る。
私を案じる先生の顔に、笑いを堪えるような、恍惚としたような、不気味な表情が、重なる。
私は、先生から距離をとろうとして、身体を起こす。
「……どうした？」
先生は訝しげな顔をしている。
先ほどまでの幻影は欠片もなかった。
「ほら、いい子だ。ちゃんと呼吸をして」
何度か手の平が優しく喉に触れる。
おそらく触診も兼ねての行動。……だが。
何故だか、そのまま首を絞められるのではないかと思った。
「……いや、やだ、やだぁ！！」
首元から手が離れて行き、今度は頭を撫でられる。
「大丈夫だ。何も怖いことはないからな」
必死に呼吸を整える。
「……こわい」
「何がだ？」
「先生」
先生は目を見開いた。
「……俺が？」
先生はしばらく思案したあと、両手をあげて二歩下がった。
私は思わず吹き出す。
「……何で笑うんだよ」
「いや、面白くて」
おかげで発作は鎮まったらしい。
………………………………………………
ガチャ、とドアがしっかりと閉まるのを確認して、
深見秋良は、口を開いた。
「……Aの記憶の回復が早い」
「え？」
相楽結生が、訝しげに聞き返した。
「もう、かい？」
「俺が、多分まずかった」
…………………………
続編できました。
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ステラ - 信じられないほどドキドキします(?)主さんの作品がめっっっちゃくちゃ好きです！！！最高です！！楽しみが増えました！ (2022年6月4日 9時) (
レス) @page50 id: 1d9e4d2339 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央 - 続きが楽しみです！ (2018年10月18日 23時) (レス) id: 7188a9c310 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 前の作品から大好きです！！続き楽しみです！ (2018年7月1日 17時) (レス) id: 7a5dbc0816 (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - 猫ザクラさん» 飛び上がりましたか笑 ありがとうございます。これからもぜひ読んでくださると嬉しいです( ￣▽￣) (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - ハジメマシテさん» 様付けされるような者じゃないんで！！笑 書くのは楽しいので時間のある時にコツコツこそこそと……。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
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