星空 ページ48
雲の晴れた星空を見上げて、私はベンチに腰掛けていた。
やっぱり見えるのは空だけだ。
夕食のあとにこっそり抜け出してきてみたが、昼間と見える景色はそんなに変わらない。
夜空の星は綺麗だが、私は外が見たいのだ。
「……外に、行ってみたい」
私は中庭を後にして、玄関の方へ歩く。
心なしか目眩がする。
風邪が悪化したのだろうか。
また、受付には誰もいない。
私は重いドアに手をかけ、そっと押した。
冷たい風が吹き込む。
ゆっくりと外に出ると、中庭で見たのと同じ星空と、高い塀が見えた。
塀の向こうに建物が見えるかもしれないと思っていたが、見えるのは木だけ。
塀の外まで歩こうと思い、足を踏み出す。
「……どこへ行く?」
ぐっ、と強い力で二の腕を引っ張られる。
振り向くと、無表情で私は見つめる深見先生がいた。
凍てついた視線に、背筋が冷えていく。
「……ごめん、なさ、」
「どこに行こうとしたか聞いているんだ」
空気が凍るような感覚。
脚に力が入らなくなって、座り込みそうになるが、腕を掴んで引っ張りあげられる。
「……そとに、行きたかった」
泣きながら言うと、彼は薄らと微笑んだ。
「風邪を悪化させたいのか?」
首をふる。
「戻るぞ」
そう言われて、無理やり立たされる。
ぐらっと倒れそうになったところを抱きとめてくれたが、いつものような優しさはない。
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ステラ - 信じられないほどドキドキします(?)主さんの作品がめっっっちゃくちゃ好きです!!!最高です!!楽しみが増えました! (2022年6月4日 9時) (レス) @page50 id: 1d9e4d2339 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央 - 続きが楽しみです! (2018年10月18日 23時) (レス) id: 7188a9c310 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 前の作品から大好きです!!続き楽しみです! (2018年7月1日 17時) (レス) id: 7a5dbc0816 (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - 猫ザクラさん» 飛び上がりましたか笑 ありがとうございます。これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(  ̄▽ ̄) (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - ハジメマシテさん» 様付けされるような者じゃないんで!!笑 書くのは楽しいので時間のある時にコツコツこそこそと……。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
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