検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:157,817 hit

切り傷 ページ30

暖かい午後の光が差し込む窓際で、私は林檎を剥いていた。

そばの椅子には深見先生が座っていて、腕を組みながら目を閉じている。
もう随分前からその状態なので、おそらく寝ているのだろう。

「……先生は、私のどこが好きなんですか」

ずっと気になっていたことを、先生が寝ているのをいいことに小声で呟いてみる。

「……遺伝子、かな」

答えが返ってきたことと、その答えの意味不明さに、私は手を滑らせた。

「っ、!!」

切れ味のいいナイフは見事に親指を傷つけた。
強い痛みに、堪えきれず悲鳴を上げる。

「おい、大丈夫か」

先生が立ち上がって私の左手を掴む。

「せんせい、」
「……深く切ったな」
「……せんせいが変な事言うから」
「お前が不器用だからだろ」

ぼろぼろ泣いている私を撫でて、先生は相楽先生を呼んだ。

「……なに、するんですか」
「縫う」

引こうとした手を、先生に強く掴まれる。

「逃げるな」
「……やだ」

ガラ、とドアが開いて、相楽先生が現れる。
先生は私の顔を見てにっこりと微笑んだ。

「ちょっと我慢できるかな?一条」

銀のトレーにのった器具がかちゃ、と嫌な音を立てる。
私はぶんぶんと首を振った。
当たり前だが手は放してもらえない。

「大人しくしろ。麻酔以外は痛くないから」

抵抗は全く無駄で、私はしっかりと捕まえられてしまった。

直接→←耳



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
110人がお気に入り
設定タグ:医者 , ドS , 名前変換オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ステラ - 信じられないほどドキドキします(?)主さんの作品がめっっっちゃくちゃ好きです!!!最高です!!楽しみが増えました! (2022年6月4日 9時) (レス) @page50 id: 1d9e4d2339 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央 - 続きが楽しみです! (2018年10月18日 23時) (レス) id: 7188a9c310 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 前の作品から大好きです!!続き楽しみです! (2018年7月1日 17時) (レス) id: 7a5dbc0816 (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - 猫ザクラさん» 飛び上がりましたか笑 ありがとうございます。これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(  ̄▽ ̄) (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - ハジメマシテさん» 様付けされるような者じゃないんで!!笑 書くのは楽しいので時間のある時にコツコツこそこそと……。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:タケノン | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年3月27日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。