【名前変換オリジナル】記憶保有期間、一年。

白 ページ2

うっすらと目を開いた。
…白しか見えない。

瞬きをしてみる。
大して変わらず、白い天井が見えるだけ。

ゆっくりと体を起こしてみた。
…白の占める割合が圧倒的に多い。
たぶん、病院だろう。
ベッドから降りようとして、ふと腕に違和感を覚える。
腕には包帯がまかれ、そこからチューブがのびている。
…点滴。
何故だかわからないが私はそれを引っこ抜きたくなった。
包帯をほどこうと端のテープを剥がす。

「おい」

低い声がして背の高い男の人が部屋に入ってきた。
あれ。
誰だっけ。
思い出せそうで思い出せない。
記憶が手からすり抜ける。
…歯がゆい。

「点滴を抜くな」

そのひとは私が包帯をほどこうとしていた手を強く掴んだ。

「…誰、ですか」
「深見秋良。お前の医者だ」

整った顔の人だ。
右目の下には泣きぼくろがあって、ちょっと色っぽい。

「…深見先生？」
「なに」
「私は、誰ですか」

先生は、ふうっとため息を吐いた。

「一条A」

…A。
知ってる、気がする。
この人の声で、このイントネーションで。

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