【名前変換オリジナル】記憶保有期間、一年。

痒み ページ19

「……ん、かゆい」

体が痒くて、目が覚める。
……無意識に発疹のところをかいていたようで、蚯蚓脹れがいくつかあった。

さっきの反省を踏まえて、先生を呼ぶ。

「……どうした？」

病室に来たのは、相楽先生じゃなくて、なんと深見先生だった。
数日いないと言っていたのは、もしかして勘違いか？

「……何を驚いてるんだ？数時間で帰るって言っただろ」
「……聞き間違えました」

数時間か。道理で妙に軽い言い方だったわけだ。

「で、なんで呼んだんだ？」

先生が椅子に腰掛けて私をじっと見つめる。

「……身体が、痒いです」
「……ああ。発疹の部分か。ちょっと見せて」

腕の発疹が出ているあたりを、そっと撫でられる。
……痒い。

「かくな。我慢しろ」

鋭い視線に、何とかかこうとする手を止めた。
それでも痒いものは痒い。

「……薬が来るまで待とうな」

優しく頭を撫でられるが、腕と背中が痒くて仕方がない。
気が狂いそうになりながら、布団に爪を立てる。

……痒い。

それしか考えられなくなって、つい腕をかいてしまった。
途端に、発疹が潰れて、血が出てしまう。

「……搔くなと言っただろう」
「……っ、すみません、……」

痒い。腕を掻き毟りたくてしょうがなくなる。

「……頑張れ。搔くと後から痛いぞ」

後からの痛みなんてどうでもいいから、かいてしまいたい。

また一つ、発疹を掻いてしまった。

「……かゆい……！！」

そのままかきつづけていると、先生に手首を掴まれる。

「こら。駄目だろ」

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