Episode131.ピース-side.you ページ42
取り敢えず一校目受かってたので一話だけ更新...
待って下さっている方、本当に申し訳ないです......。
.
少し小高い丘を走る
この先には、村で亡くなった人達が眠る場所......“墓地”がある
勿論あの人も、あそこで眠っている
『はっ、はっ......っは、』
段々と見えてくる墓地。
朝の冷たい風が、肌に刺さるように吹き抜ける
己の口から漏れる白い息が、冬間近の早朝の寒さを物語っていた
それでも寒さに構うことなく、とある目的地に向かって走る
走っているせいか、それとも違う理由か、やけに心臓の音が煩い
思わずロケットを握り締める手に力をこめた
ーーー
数分前
ロケットの中には、とある写真が飾ってあった
二人の小さな子供を挟むように立つ、二人の男性と一人の女性。
女性の瞳はこの世界では珍しい「赤」
他四人も、これまた珍しい「紫」
全員、幸せだとでも言うようににこやかに微笑んでいたり、口を大きく開けて笑ったりしている
ああこれ、知っている
全員、見たことがある......というより、子供のうちの一人は俺だ
俺と、兄さんと、母さんと、写真でしか見たことがない父さんと＿＿＿＿＿＿
『え.........？』
＿＿＿＿何故か、ヴァイオレットさん。
父さんの隣に立ち、優しく微笑んでいる
二人とも同じ軍服を着ていて、同じアメジストの瞳を柔らかく細めていた
ふいに、彼の話がまた頭を過る
＿＿ああ。俺‘も’兄貴が居たんだが.........何年か前の戦争で戦死してしまってなぁ......。
父さんの死因も、戦死。
同じ色の瞳。
なんとなく面影のある顔立ち。
そして、この写真。
『......もしかして、』
血縁者.........？
ぱちりと、欠けていたピースが嵌まったような感覚がした
そう思えば色々と辻褄が合うのだ
どこか見覚えのある顔立ちも
他人である俺をあれほど過保護に育てたのも
俺を見てときどき寂しそうに笑うのも
全部。
『っ、』
胸から何かが込みあがってくるような、なんとも言い難い感覚。
全部全部、吐き出したくて、気付けば俺は墓地へ続く道を走っていた
ーーー
墓地に良い思い出なんてない
その単語を聞けば一番に思い浮かぶのは真っ黒な服装の知り合い達。
皆一様に暗くどんよりした雰囲気で俯いていて。
その中央には、安らかに眠る大好きな人。
良い思い出なんて、あるわけないのに。
『......何年振りだろ』
目の前に鎮座する鈍色の墓石に、また少しだけ涙が滲んだ
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Rettosei_0822(プロフ) - とても面白かったです！これからも執筆頑張って下さい。最後のshpから譲り受けたゴーグルはどうなったんですか？ (5月31日 3時) (
レス) @page48 id: c34cfad174 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もう最高でした! それから涙腺崩壊何回したことか…。・°°・(＞_＜)・°°・。作者様このような作品有難う御座います。ふふっ楽しく悲しく読ませていただきました。 (2020年6月14日 12時) (レス) id: 823e106573 (このIDを非表示/違反報告)
モノトーン - 性癖にドストライクでした。こんな神作をありがとうございました。次の作品もめっさ楽しみに待ってます。 (2020年4月3日 22時) (レス) id: c6c1282ede (このIDを非表示/違反報告)
HARUKA(プロフ) - 感動して泣きました。この様な素晴らしい作品に出会えてとても幸せです。素晴らしい作品を作って頂き、本当にありがとうございました。これからも頑張って下さい。 (2019年8月4日 16時) (レス) id: c358560c76 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 完結おめでとうございます。楽しく読まさせていただきました。凄く好きです…ありがとうございました…！ (2019年2月23日 22時) (レス) id: 4dc1d00e9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月1日 0時
