Episode95.かみさまの願い-side.Ss ページ4
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A君が目を覚ました
それを目にした途端、安心して勢いあまって抱き締めてしまったけれど
彼は優しく『ただいま帰りました』と笑ってくれた
目を覚ましてくれた嬉しさよりも先に、なんでもないように笑っていることに心の底から安堵した
彼は眠っている間、何度も何度も苦しそうに呻いて、何かに耐えるように唇を噛みしめていたから。
「おかえり」と返せば、A君も嬉しそうに笑い声を漏らして俺の背中に手を回した
まるで小さな子どもが甘えているようなそれに、なんだか胸があたたかくなって
子どもをあやすように一定のリズムでポン、ポン、とゆったりとA君の背中を叩く
しばらくそうしていると、ふいに彼の背中が微かに震えていることに気付いた
「......？A君？」
背中を叩く手を止めず、優しくそう声を掛ける
それにびくりと肩を揺らしたA君は、俺の肩に顔を押し付けた
それと同時に、背中越しに彼が俺の衣服をぎゅう、と握る感覚を覚える
今までされたことがなかったその行動に思わず目を見開いたが
なんとか彼を落ち着かせようと背中を叩いていた手で優しく擦った
「どうしたん...？具合でも悪なった？」
そう問い掛ければ、否定の意を示すように小さく首が振られる
はて、ならば何故こんなことをするのか
不思議に思ったが、彼が話してくれるまで待とうと口を閉じる
『............った......』
小さな、本当に小さなその呟きに「ん？」と問い返す
A君の口から発されたその声は、「安堵」というよりもどこか悲痛さを滲ませていた
『............貴方を、っ助けることができて、......良かった.........！』
心からの、言葉だったと思う
『良かった』とそう何度も口にする彼に、無性に胸が締め付けられる
君は一体どれだけのものを抱えているのか。どうして、仲間である俺達に打ち明けてくれないのか
単なる自分のエゴであることも、自分勝手であることも分かっていたけれど
そう思わずにはいられなかった
先ほどまで何ごともなかったように笑う彼に安堵していた自分を殴りたくなる
耐えるように震え、縋るように俺の衣服を握り締める彼の、どこが“何ごともなかった”だ
自分自身の不甲斐なさに、A君に顔が見えていないことをいいことに思い切り顔をしかめた
それでも彼を少しでも安心させようと、背中を優しく擦り続ける
彼のその華奢な体に抱えるものが、少しでも軽くなってくれることを願いながら。
Episode96.紫色の兄弟-side.G→←幕間.二人の企みに風は答える
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Rettosei_0822(プロフ) - とても面白かったです！これからも執筆頑張って下さい。最後のshpから譲り受けたゴーグルはどうなったんですか？ (5月31日 3時) (
レス) @page48 id: c34cfad174 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もう最高でした! それから涙腺崩壊何回したことか…。・°°・(＞_＜)・°°・。作者様このような作品有難う御座います。ふふっ楽しく悲しく読ませていただきました。 (2020年6月14日 12時) (レス) id: 823e106573 (このIDを非表示/違反報告)
モノトーン - 性癖にドストライクでした。こんな神作をありがとうございました。次の作品もめっさ楽しみに待ってます。 (2020年4月3日 22時) (レス) id: c6c1282ede (このIDを非表示/違反報告)
HARUKA(プロフ) - 感動して泣きました。この様な素晴らしい作品に出会えてとても幸せです。素晴らしい作品を作って頂き、本当にありがとうございました。これからも頑張って下さい。 (2019年8月4日 16時) (レス) id: c358560c76 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 完結おめでとうございます。楽しく読まさせていただきました。凄く好きです…ありがとうございました…！ (2019年2月23日 22時) (レス) id: 4dc1d00e9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月1日 0時
