Episode93.目覚め-side.you ページ1
A君が元々住んでた村→我々国
ヴァイオレットが身を寄せた村→tn氏の出身国
.
ゆっくりと、意識が浮上する
それと同時に、今まで見ていたものは夢だったと悟った
なんて、やるせないのだろう
あれから、故人となったヴァイオレットさんは村の外れにある墓場に埋葬され
彼の家は当然のように、俺に受け継がれることになった
一人暮らしに憧れたこともあったが、こんな形でそうなるのは望んでいなかった
その後どうしても矢を放った犯人が許せなかった俺は、彼のことをよく知っているおじさんに
ヴァイオレットさんについて聞きに行った。仲が悪かったくせに、妙に寂しそうに話すから
嫌いではなかったんだな、と思うとまた泣いてしまった
おじさんの口から聞いた彼の話は思わず耳を疑った
曰く、彼は元々軍人であった
曰く、出陣の際に兄を亡くしたショックで軍の責務から逃げ出し、逃亡者となった
曰く、それで行きついたのが、ここの村であった
この国では軍の責務は絶対であり、それから逃げ出すことは極刑と言われている
ヴァイオレットさんは死と隣り合わせの状態でいつも暮らしていたのだ
葬式で散々泣いたというのに、またしてもおじさんの前で泣いてしまった俺は、とある決心をした
“誰にも負けないくらい、強くなりたい。強くなるまで絶対に泣かない”
それから俺は、おじさんに必死に頼み込んだ
おじさんの知り得る格闘技を全て伝授してくれと。
ヴァイオレットさんのように、強くしてくれと。
頷いてくれるまで、何度も何度も頼み込んだ
俺のあまりの必死さに根負けしたおじさんは「仕方がない」と言って笑った
それから俺はおじさんに格闘技を習いながら、家にあった全ての本を読むことに殆どの時間を注いだ
強くなるためには力や技だけでは駄目だ。知識がなければ、弁が立たなければ、狡猾でなければ
計算高くなければ、＿＿＿＿＿＿＿嘘が、上手くなければ。
愛に飢えていた俺は、いつしか彼の持っていたアクセサリ......ピアスをつけるようになった
ネックレスやブレスレットは、彼がくれたプレゼントの鍵付きのロケットで充分だった
それを付けていると、まるでヴァイオレットさんがいるような気がして酷く安心した
......そういえば、ロケットの鍵はどうしたんだっけ。
白い天井が眩しい。薬品の匂いがする。.........医務室だろうか
起き上がろうとすれば、身体中に痛みが走った
それよりも、痛いくらいの眩しさに悲鳴をあげたくなった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rettosei_0822(プロフ) - とても面白かったです！これからも執筆頑張って下さい。最後のshpから譲り受けたゴーグルはどうなったんですか？ (5月31日 3時) (
レス) @page48 id: c34cfad174 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もう最高でした! それから涙腺崩壊何回したことか…。・°°・(＞_＜)・°°・。作者様このような作品有難う御座います。ふふっ楽しく悲しく読ませていただきました。 (2020年6月14日 12時) (レス) id: 823e106573 (このIDを非表示/違反報告)
モノトーン - 性癖にドストライクでした。こんな神作をありがとうございました。次の作品もめっさ楽しみに待ってます。 (2020年4月3日 22時) (レス) id: c6c1282ede (このIDを非表示/違反報告)
HARUKA(プロフ) - 感動して泣きました。この様な素晴らしい作品に出会えてとても幸せです。素晴らしい作品を作って頂き、本当にありがとうございました。これからも頑張って下さい。 (2019年8月4日 16時) (レス) id: c358560c76 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 完結おめでとうございます。楽しく読まさせていただきました。凄く好きです…ありがとうございました…！ (2019年2月23日 22時) (レス) id: 4dc1d00e9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月1日 0時
