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安田 side
「渋やん、好きやで」
息を呑む音が聞こえた
「愛してた、すばるくん__、」
それだけ言ってぶつりと電話を切った
章大って焦った声が聞こえた気もするけれど、これ以上はお互いのためにはならない
すばるくん、章大って呼びあってたあの頃が随分と昔だったように感じる
あの頃に戻るなんてもう出来ひんから、大人しくこの気持ちは胸に仕舞う
いつかこいつが消えてくれるまで…
考え事をしていた間に渋やんから沢山の連絡が来てた
少し躊躇いながらも彼の連絡先を消す
もうこれで渋やんと連絡を取ることはかなり困難になったはずや
俺の決心が鈍らん限り、
あのね、渋やん……
1つだけ言い忘れた、いや言えなかったことがあるんよ
桃の花のもうひとつの花言葉は“ i'm your captive. ”(私はあなたのとりこ)
僕の心から完全に貴方が居なくなることなんてありえない
だからもうこれ以上は………
いつかこの事が笑って話せることを願って、祈るように両手で携帯を持ち、額に当てた
左目から零れた一筋の涙には気付かない振りをして
自分のこの感情がいつか昇華される事を、そして異国の地で新たな1歩を踏み出そうとしている彼が幸せである事をただ祈るばかりだった
やりたい事、夢、希望がなくてもただ一つだけ、誰でもないあなたを生きて
これは渋やんなりの俺たちへのそして、貴方自身へのエールやったて自己解釈しとくよ
誰でもない僕を生きるために、もう貴方とは会わへんかもしれん
それくらいの覚悟で歩いていく
俺にとっては彼自身が鍵だったこの扉が、開くことはもう無いから
彼が何処かで、自分のしたいことをやって幸せである事だけがメンバーとして貴方に望める唯一の未来、、、
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作者名:綽柳 | 作成日時:2019年4月28日 22時