There 's no use hoping my… (ページ6)

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渋谷 side

いよいよフライトの日

前日に身内だけでの盛大な送別会が行われ、あいつらには見送りまでは来なくてもいいと話した

今日は全てを捨ててゼロから始めるための特別な日となる

メンバーに話し、会見を開き、“ 最後の ”と謳われた放送が着々と流れていくなかで自分の覚悟が揺るぎないものとなっているのを感じていた

飛行機に乗るまでの時間、いろんな人からの連絡があった

その中で何だか気になったやすが送ってきたもの

彼奴なら五月蝿いぐらいのメッセージを送ってくるかもしれないと思っていたが、開いてみれば拍子抜けした

たった1枚の画像だけ

それには桃の花と、その木の部分に綺麗にちょうちょ結びされた赤いミサンガ

見送りは来んでええとは言うたけど意味深な画像を送ってこいという許可も出したつもりは無い

幸いフライトまでは時間がある

彼奴がこんな画像を送ってくるなんて、、

案の定数コールであの脳内お花畑は電話に出た

『やす、何やねんあの写真』

「ん？あぁ、あれねぇ… 桃の花やで造花やけどな」

『いや、それは見たらわかんねん』

「そうやんなぁ… ふふっ

＿＿ごめんなあ俺そない大人やないみたいや」

『…やす？』

「覚えてる？あのミサンガ」

『おん、』

忘れる訳が無い

「まだな、俺大事に持っててんなぁ」

俺かてまだ大事に持ってんねん

色んな言葉が頭を巡り、口に出そうとするが音として向こうに伝わることは無かった

「あと、桃の花の花言葉知ってる？」

『…いや、、』

「“ 天下無敵 ”やで

今の渋やんにはぴったりやろ？

渋やんの歌やったら世界でも宇宙でもやっていけるわ」

話を急に変えられた違和感はあったがこいつの声が心地よかった

『宇宙て、、お前の頭ん中どないなっとんねん』

思わず笑みが零れた

ついさっきの俺の逡巡は無かったかのように

「あはは、でも過言ではないやろ？」

『いや言い過ぎやで』

俺の口角は上がったまま、

「渋谷すばるっていう名前を広めまくってな？

俺らも渋やんとこまで名前が届くまで頑張るからさ」

『そうか…そうやなぁ、、』

「俺らは俺らで、出来ることをやっていくわ」

『おう、、、』

暫くの沈黙が俺らを包んだ

でもそれは嫌な静寂なんかやなくて

むしろ心地よいぐらいやった