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安田 side






渋やんは僕の反応が意外だったのかそれとも年上2人との反応の差が余りにもあったのか、暫く呆然と言葉が出てこない様だった


「そりゃ今すぐに納得しろ、理解しろ言われても無理な話やけど、渋やんの決断なら応援するよ。


それに横ちょと信ちゃんに言うた上でのことならもう変える気は無いんやろ?」


一応本心ではあるから言葉はスラスラと出てくる

ほんまに言いたいことは喉の奥に詰まってしまったみたいに出てこうへん




『まあ、せやな』


短くそう返した彼の、軽く目を伏せ目線を外した真剣な横顔は昔と殆ど変わらず綺麗だった





この人の内に秘めた芯の強さにはいつも驚かされて、もはや尊敬の念すら混じってくる


こちらを真っ直ぐに見てくれる瞳の奥には揺るがない紅の炎が宿っているように感じた


昔あった脆弱さは鳴りをひそめているようで多少のもの寂しさもあったり、自分がいなくてももう大丈夫なのかと親離れを見守る母親のような心境になったり、彼には心を乱されてばかりだ





そのあとはどうしてそんな決断をしたのかとか、今日の大倉は休憩時間にどれくらい寝ていたかとか、珍しく丸が絶好調だったとか、ほぼ八割方どうでもいい話をして時間が過ぎていった






そういう決断を彼がしたのなら、俺は俺で覚悟を決めなきゃならないことが出てきてしまった


自分が彼に対して抱いていてる感情は、メンバー思いだと纏めるには余りに荒々しく、恋だと言うには余りに柔らかい


そんな感情にケリを付ける必要があると、そう思った

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作者名:綽柳 | 作成日時:2019年4月28日 22時

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