コノ恋ガ叶ウノナラバ_ ページ4
─ 俺、ロボットやねん。
彼にそう言われたのは桜の花弁が地面に貼り付き、半袖でもええかな、いやまだちょっと寒いな、なんていう微妙な時期のことだった。
「外の空気吸いたいなぁ。」と屋上に行った彼を追いかけると、突然そんな事を言われたのだ。
「ろぼ、ろぼっと?」
その言葉は俺にとってはまるで異国語のようだった。
「俺、中間研究所で生まれてん。」
「な、なかま…?」
「中間先生のお父さん。」
中間先生とは俺らの担任のこと。
無駄に神ちゃんの事を気にかけていて、周りでは「唇妖怪の餌にされたぞ。」なんて言われていたっけ。
「俺、実験用のロボットやからさ、あと一ヶ月でバイバイやねん。」
「はっ…?」
その言葉に俺は耳を疑った。
一ヶ月…? バイバイ…?
「ちょぉ、意味わからへん、」
「そのままの意味や。一ヶ月経ったら、俺は居らんくなる。」
「嘘、やん…」
彼は困ったように頷いた。
その顔は、どこからどう見ても人間で。
俺は信じれなかった。
信じたくなかった。
「…ははっ。悪い冗談やなぁ、今日エイプリルフールやないで?」
「しげ…」
「あー、それともなければドッキリ?おもろない、おもろない。」
「…ごめん。」
彼はか細い声でそう呟く。
彼の顔は眉が極限まで下がっていて、今にも泣き出しそうな顔だった。
そんな顔するから、信じれないのに。
「なんで謝るん…?」
「しげ、泣いてる。悲しそう。」
「えっ…」
慌てて目元に手を運ぶと、手濡れる感触があった。
俺、泣いてる…。
「傷付けてもうた、しげのこと。」
一歩彼が俺に近付く。
「ちゃう、…!」
「しげ…ごめんな。俺、そんなつもり…」
もう一歩。
「神ちゃ…ごめん、」
肌が触れそうな距離。
何だか気まずくなり、俺は屋上を後にした。
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ふじじまにこ(プロフ) - ロボットさん» ありがとうございます!赤橙書かせていただきます…!!(初挑戦です!!)頑張ります! (2018年5月11日 15時) (レス) id: d2f23575b2 (このIDを非表示/違反報告)
ロボット(プロフ) - 初見です!リクエストで、赤橙の赤が嫉妬深いのが見たいです!宜しく御願います!これからも応援してます! (2018年5月9日 14時) (レス) id: 8ee4945d34 (このIDを非表示/違反報告)
ふじじまにこ(プロフ) - 青色れもんさん» そう言っていただけて嬉しいです! 桃青さん、了解致しました! (2018年4月29日 19時) (レス) id: d2f23575b2 (このIDを非表示/違反報告)
青色れもん(プロフ) - 続編とても嬉しいです!!桃青みたいです!! (2018年4月28日 21時) (レス) id: 3766ad499a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふじじまにこ | 作成日時:2018年4月28日 15時