虹色花火 (ページ44)

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君をオトすページ44

普段生活するフロアの一個下の階。

堂々と廊下を歩いてみせるが、やっぱり浮いてしまう。

周りの視線が痛すぎる。

目的の教室にヅカヅカと入っていくと、ざわめいていた室内が一瞬にして静寂に包まれた。

熱心に勉強をしている彼に俺は声を掛ける。

ビクッと跳ねた肩を掴むと、ギロリと鋭い瞳で睨まれた。

「…触らないでください。」

「あっ、これもアカン系なんや？まぁええわ、小瀧くん！」

「うざいわこいつ」と言いたげな目で見つめてくるので言葉を繋げようか躊躇ったが、ここまで来て引き返すわけにもいかない。

頑張れ、自分。

「今度の文化祭、実行委員本部に入ったやろ？」

「なんで知ってんねん…」

「あぁ、ストーカーやと思わんといて？しげからの情報や。」

「重岡先輩…！！絶対に言わないって約束したのに…！！」

グサッ。

ナイフで俺の心が刺されたかのようなダメージ。

そんなに俺に知られたくなかったんや…。

「俺も本部やねん。せやからさ、連絡先交換せえへん？連絡手段！」

「お断りします。」

「ええの？連絡が取れずにハブられるうえに、小瀧くんが焼きそばパンが大っ好きな事バラすで？」

「嘘っ…！ずるい、ずるいです！先輩！」

うるうるな涙目でそんな事言っても効果なし。

というか、そんなに嫌がる事だっただろうか。

ハブられるのが嫌なのか、焼きそばパンが嫌なのか。

どっちにしろ、彼はズレている。

「交換しましょ！その代わり、実行委員の連絡だけですよ！？
あっ、あと焼きそばパンの事はご内密に！」

そっちかーい！と心の中でツッコミながら、ガッツポーズをする。

感情が渦巻き過ぎていて、自分でも疲れそうだ。

お礼を言った頃には教室はもう騒がしかった。

彼との繋がりを持った携帯を握りしめる。

一歩前進。

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