虹色花火 (ページ5)

今日:4 hit、昨日:17 hit、合計:85,686 hit

ただ、好きだからページ5

約束の日曜日。

いつも以上に服選びに時間をかけ、俺のお気に入りのブランドのジップブルゾンとワイドパンツを組み合わせた。

この前の黒のハットも身につけ、重岡にからかわれる伊達メガネもしっかりと着用した。

予定より早く着くように家を出る。

現地集合なので、あらかじめ重岡と集合するなんて事はしなかった。

集合時間の十分ほど前。

遊園地のゲート前へと向かうと、既にそこには望がいた。

相変わらずお洒落やなぁ、なんて。

「おはよ、望。」

「あっ、先輩！おはようございます！」

緊張しすぎて早く来るであろうと予想していた重岡がいない。

しかも、彼は必ず十分前には来る。時間に遅れたことは一度もないのだ。

「あれ、しげは？」

なぜか望は俯いた。

「元々重岡先輩のことなんて誘ってないですよ。」

「え？誘ってないん？」

「重岡先輩もいるって言わないと、藤井先輩は来てくれないやろ…？」

その事実に驚いていると、俯いていた彼は俺の目をじっと見つめる。

「俺は、二人きりがええんです。」

胸の音が鳴る。

「二人きり」なんて前にも言われたことがあるのに、今はなぜ、こんなにも胸がバクバクと音をたてているのだろうか。

この気持ちは何なのだろうか。

もしかして、俺は。

「さぁ、行きましょ！」

手を引っ張られ、俺達は遊園地の中へ。

中は遠足で来てる子供たちとカップルで溢れていた。

友達同士で来ている人は少ない。

「なんか、俺達めっちゃ浮きますね。」

笑顔でそう言う望に曖昧に答えた。

まだ、彼の手は俺の手を握っている。

彼の温もりが、一瞬にして緊張に変わった。

「ごめんなさい！」と慌てて手を離す望。少し寂しい。

「大丈夫」と笑顔で答えると、望も笑顔になった。

「たっくさん乗りましょうね！」

目を輝かせて言う彼に、胸が高鳴った。

ああ、やっぱこれは恋なんだな。

next