虹色花火 (ページ21)

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君の隣にページ21

「あっ、流星！お粥作った！久しぶりやから、美味いかは保証せんけど。」

「俺、風邪ちゃうけど。」

「ええから！」

素直に「ありがとう」も言えず、可愛くもない返事をすると、彼は銀色のスプーンを手に取った。

卵が入っているお粥を掬い、それを俺の口元まで運ぶ。

…この状況、おかしいって。

「自分で食べれるわ。」

「彼女できた時の練習！ほら！」

「俺…？」

「しげとかにやったら引かれるやろ！」

「せやけど…。」

「はよ！」とスプーンを押し付けてくるので、口を開けるしかない。

口の中に入れられたお粥は、とても美味しかった。

「普通に美味いで。」

「ほんまっ？」

俺が褒めると、彼は嬉しそうに笑った。

その笑顔にまた惹かれるんだよ。なんて言えば、俺は嫌われるだろうか。

俺は、望しか見えてへんから。

伝えられない想いを、二口目のお粥と一緒に飲み込んだ。

「熱ある？」

彼の手がそっと額に触れる。

俺の体の中が熱くなる。

胸が、うるさいほどにバクバクと音をたてて。

彼に聞こえてしまうんじゃないかと心配になるほどだった。

「…顔赤い。」

彼の言葉にぴょんと肩が跳ねる。

「なに、俺のこと好きなん？」と俺を見つめる望。

冗談だと分かっているはずなのに、いつものようなふざけた言葉が返せない。

「…冗談やって。」

「分かっとる、」

今、俺は望を独り占めしている。

彼が見つめるのも俺で、今彼の声を聞いているのも俺だけ。

こんな状況は久しぶりで。

もしここで想いを伝えたら？

拒絶されるだろうか。

せめて今だけは、彼の隣に…。

「望っ。」

「ん？」

「もう少し居ってもええ？」

「阿呆か。その状態で帰せるわけないやん。」

その言葉に「ありがとう」と言うと、彼は満足そうに笑った。

あぁ、本当に望のことが好きだ。

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