虹色花火 (ページ3)

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ただ、好きだからページ3

「の、のん！オシャレやね？」

会話に入れない事が気に食わなかったのか、少し食い気味に重岡が別の話題を見つける。

「ですよね！このブランド大好きなんですよぉ！」

「ですよね」と肯定をしてしまうほどの自信を無視し、望の服に刺繍されているロゴを見る。

「どっかでみたことあるなぁ。」と呟く重岡。

それもそのはず。

それは俺も好きなブランドで、今日のロングコートもそのブランドの物だった。

「このブランド、俺も好きやねん…！」

「マジですか！？めっちゃええですよね～！」

「おん、この前も夏の新作出して…。」

「あー！見た見た！めっちゃ欲しいんですけど、お店に行けてなくて…。」

まさかの意気投合に興奮していると、退屈そうな重岡の声が聞こえた。

「おぉい、飲み物来たけど。」

苦笑いで立つ店員さんの姿を見て、一気に恥ずかしくなった。

．

それから十五分ほど経ち、ひたすら重岡の良いところを紹介した。

重岡がトイレに行っている今も、俺は良いエピソードを見つけては彼に話す。

彼は楽しそうに聞いているが、俺はちっとも楽しくない。

「へぇ。モテモテですね、重岡先輩。」

「せやね…。」

「あ、藤井先輩。」

他にエピソードがないか探していると、ニコニコの望が俺の名前を呼んだ。

「今日は来てくれてありがとうございます。」

「え？あぁ、まぁ、来たかったし。」

「実は、藤井先輩が来るから俺も来たんですよ。」

爆弾発言。

重岡の恋の手助けのはずなのに、俺が好かれてどうする。

「へへっ、また今度二人きりで出掛けたいなぁなんて。」

「えっ、あのっ、しげとはええの？あいつ、案外暇やでっ。」

「重岡先輩ですか？まぁ、楽しそうですけど…」

「なっ？遊園地とかええと思う。」

「あー、ええですね。藤井先輩と二人きりでもええですよ？」

いや。いや。いやいや。

「ええですよ？」とか、なんか俺が望と行きたいみたいになってるやん！！

なんてツッコミを口にしないのは、少しだけ「ええかな。」と思ったから。

望と二人きり。案外悪くないかもな。なんて思った。

「んまぁ…いつか行こうな。」

「よっしゃ。」

小さくガッツポーズする望のことを、少しだけ可愛いと思ってしまったのは気のせいだろう。

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