虹色花火 (ページ2)

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ただ、好きだからページ2

黒のロングコートに、黒のハット。

ラフな靴に、黒縁の伊達メガネ。

それらを身に纏い、午前九時半頃に例のカフェへと向かった。

無駄にシャレてるドアを開けると、既に重岡が座っていた。

親に貰ったらしい黒のTシャツの上にチェックシャツ。

相変わらずアイテムはいつも通りダサかったが、組み合わせ方はいつも以上にオシャレに見えた。

俺の姿を見つけて、カッコつけて左手をあげる重岡に笑いを堪えながら、重岡のいる席へと向かった。

「なんや。お前、めっちゃかっこええやん。」

「いつもジャージのしげとは違いますから。」

「うわ、ダテメとか意味なっ。」

「うるさ。」

帽子を取ってからコートを脱ぎ、重岡の隣に座る。

「例の子は？」ときくと、少し緊張気味に「まだ」と答えた。

丁度良いタイミングに、カランカランと来店を知らせる音が鳴った。

やってきた人物に手を振る重岡。

俺はただただ驚いていた。

高身長で、スタイルも良くてオシャレな男性。

彼が恋をしていた相手は、男だったのだ。

いや。それは別に問題ない。

ただ、恋愛対象が俺と一緒で、俺達が惹かれ合っていた可能性があったことが恐ろしかった。

そう、俺の恋愛対象も男性なのだ。

「やっほ、のん。」

「どうも。藤井先輩もおはようございます。」

そう律儀にお辞儀をする彼に好印象を持った。

「あっ、後輩？」

「三つ下です。」

「あぁ…。」

「藤井先輩の話は重岡先輩からよく聞きます！ええ友達ですね！」

何か変な事は言ってないか心配になったが、「ええ友達」と評価してくれてる辺り大丈夫だと信じたい。

「何か飲むか。」

重岡がそう言い、俺達にメニューを回してくれる。

悩んでいる彼を眺める重岡は、親友の俺から見ても気味が悪かった。

清楚な店員さんが来ると、重岡はキャラメルマキアート、彼は抹茶ラテ、俺は無難にこの店オリジナルのカフェラテを注文した。

「あの…今更なんやけど、名前は？」

店員さんが消えたところで目の前に座る彼に単純な質問をする。

「申し遅れましたっ！小瀧望です！のんとかのんちゃんとか呼んでください！」

「あぁ、望でええわ。」

ふふっと笑うと、彼も嬉しそうに笑った。

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